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脚本・編集 そんちゃん
CAST | ||
ヒカル(開くもの) | cv.そんちゃん | |
大司教ブルメイル | cv.かっつん | |
イスカリオテ | cv.まめ鋼 | |
探偵ハンク | cv.水月 |
ヒカル:(ソルキア大陸には確かに古代文明があった。
でも、わたしが探しているような元の世界へ帰る方法ではなかった。
ソルキアには暗号が解読できないと入ることもできない集落がある。
『ハーベル』と呼ばれるその集落は砂漠の地下に存在していて、
わずかな人々が外界と関わらないようにひっそりと暮らしている。
そこにはモンスターメールというものがあって、
荷物をモンスターに背負わせて届けたいところまで移動させるという物だった。
聞いただけでは便利そうに思えるかもしれない。
でも実際はそれだけではなかった。
昔、ソルキア大陸を中心に栄えた文明は、その優れた文明におごり高ぶり世界統一を企てた。
その時に使用しようとしたのがモンスターメール。
手なづけたモンスターに爆弾を背負わせ敵陣地内まで送り込み、
自爆させて壊滅させようとしたのだ。
そして、その計画を成功させる為に超強力な爆弾兵器が必要となった。
でも開発中に大爆発を起こし、その文明は一瞬のうちに消え去った。
地下の…ハーベルで暮らしていた人々を残して…)
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■ファンブルグ
ヒカル:(ソルキアを後にして、わたしは一旦ファンブルグに戻った。
久しぶりに戻ったファンブルグはお祭り騒ぎだった。
いつも賑やかな東通りだけど、今日はさらにすごい。
なんでも、ファンブルグ建国4000年のお祭りらしい。)
うわぁ。なんかワクワクしちゃう!
みんな楽しそうだし、今日はわたしも楽しんじゃおう!
(見たことのない道具や、なかなか食べられないような珍しい果物が売られていたりと
街はこれ以上ないくらい盛り上がっている。)
あれなんだろ?
(バー=コッテリアの前に異常な人だかりが出来ている。)
すごい人…何をやっているんだろう。
(背伸びをして必死で見ようとしたけどぜんぜん見えない。
気合いを入れて人垣を掻き分けて最前列へ出た。)
ええっと…へぇ、クジをやってるんだ。
(看板の説明によるとクジは全部で3種類。
それぞれ当たると、お金、ペット、アイテムのどれかが貰えるらしい。
景品の並べられたコーナーを見ていると、檻に入れられた1匹のモンスターと目があった。)
な…なにあの子!かわいい…
(そのモンスターはキューピッドという真っ白な天使のモンスターだった。)
あ…あの子ほしい!!
(思わずペットの当たるクジの列に並ぶ。)
…やばい。あの子ほしい。あの子かわいい。
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ヒカル:ふふ〜。
(1時間後…
わたしの腕の中にはあのかわいいキューピッドが抱かれていた。)
あなたの名前は『ホルス』にするわ!
それにしてもあのクジ、一瞬当たりがないんじゃないかと思ったわね〜。
ついムキになってしまったわ…
ぅ…エデン、そんな目で見ないでよ…
ええっと…ま、まぁあれよ!
仲間は多い方がいいし…
クジ屋のおじさんがこの子は魔法が得意だって言ってたし、きっと役に立つわよ!
…まぁ、しばらくは贅沢できないわね。
(ため息をつくエデンをなるべく見ないように宿屋に戻った。)
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ヒカル:さて、とりあえず図書館に行ってみようかな。
(翌朝、ルビやフォルケンの言っていた『開くもの』を調べようと、リセリア城図書館へ向かった。
召還された時には「開くものじゃない」と言われたけど、すごく引っかかる。
図書館の古い本には、驚いたことに勇者リーユン、戦士バルケス、魔術師アシャフ、
そして巫術師サザンカの名前が何度も出てきた。
数千年もの昔に活躍した英雄達の名前らしい。
という事は、あの時わたしは過去に飛ばされたと言うことになる。
過去に飛ばされ、勇者達と戦った?
リーユン達はわたしを知っていた。
これから何度も過去に行くということなんだろうか。
それとも…わたしではない違うわたしがいる…?
まだまだわからない事が多いけど、
とりあえず今度は、フレイア大陸の北にあるセレーネ大陸へ行くことにした。
そこにはアステリア神殿というものがあるらしい。
ファーレン王国で信仰されている宗教の中心地で、『開くもの』と関係があるみたい。
『開くもの』についてなにかわかるかもしれない。)
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■セレーネ
ヒカル:(アステリア神殿はジェノーバという街の北にある高い山の上にあった。
来る途中の参道で神官が
「ここを通ることができるのはアステリアの神官か、開くものの試練をうけるもののみ」
と言っていた。
さらに「開くものとしてこの世の災いに抗う意志があるのならば、
神殿でブルメイル総大司教に会え」と…
という事は、まだわたしにも『開くもの』になれる可能性があるということ?
『開くもの』がなんなのかはわからないけど、前に進むためには必要なことのような気がする。)
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■アステリア神殿
ヒカル:うわぁ…宗教とか興味ないけど、なんか凄い威圧感…
(アステリア神殿に着いたわたしはその神秘的な雰囲気に飲まれそうになっていた。)
ハンク:やあやあ、またお会いしましたね。
ヒカル:え、ハンクさん?
どうしてこんなところに…
ハンク:探偵、しかも敏腕ともなれば如何様な場所にも現れるもの。
ところで、あなたはなぜここに?
ヒカル:わたしは…
ハンク:おっと!まった!なるほど、あなたは隠れ神官ですな?
ヒカル:わたしが神官?なんでそうなるの…
ハンク:いやいや、どんな言い訳をしてもこの灰色の脳細胞に嘘はつけませんよ。
その猜疑心に満ちた眼差しを見れば容易に想像がつく。
しかし私をどうにかしようなどと思わないほうがいい。
このアステリアの秘密、今度こそ持ち帰らせてもらいますよ。
ヒカル:アステリアの秘密ってなんですか?
ハンク:……さて?なんのことかな
ヒカル:いつも余計な事まで話すのに…
ハンク:おっと、誰か来ましたね。あなた(達)に用事があるんでは?
私は失礼させていただきますよ。
ヒカル:(そう言うとハンクはそそくさと奥の部屋へ入っていった。
その直後にやってきた神官に、ハンクが入った部屋とは違う部屋に通される。
そこには大きな3体の像があった。)
ブルメイル:これらはアルゼ十二神のうちの三女神の像。
左がフィニア、右がエレノア、そして中央がカレン。
時をつかさどる女神たちだ。
ヒカル:(振り返るとそこには立派なローブを着た威厳のある男の人が立っていた。)
ブルメイル:お初にお目にかかる、召還されし者。
私がブルメイルだ。
ヒカル:あ…えっと…初めまして…
ブルメイル:ここまで来たということは、それなりの覚悟を持って参られたわけだな。
よろしい、ではすべての説明をする前に、最後の試練を受けて頂こう。
よろしいかな?
ヒカル:…はい、そのために来たんですから。
ブルメイル:期待通りの若者だな。では行きたまえ。
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■禊
ヒカル:(案内された場所は通路と水路が入り組んだ迷路みたいな場所だった。
巨大な青いキューブから燭台を受け取る。)
迷路…苦手だぁ…
(ぶつぶつ言いなが先へと進むと、また青いキューブがあった。
近づいて1つ目の燭台に火を灯した。
その後、同じように2つ目、3つ目と火を灯す。
そしてやっと最深部へたどり着いた。)
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■洗礼の試練
ヒカル:げげ…
なにあれ…
(そこには天井にまで届きそうな大きい頭のない白い鎧が一体いた。)
パターン的に戦えってこと…よねぇ。
(嫌そうな顔でエデンを見る。エデンはやる気満々だ…)
さ、ホルス。
初めての戦いだよ!頑張ろうね!
(ホルスの頭を撫でるとホルスは興味なさそうに鎧を見た。)
よ、よし!戦力倍増したんだからいけるいける!
やっちゃいますか〜。
(再び巨大な鎧に向き直り、気を引き締める。)
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■戦闘開始
イスカリオテ:……我が名はイスカリオテ……
…神に背きし者也…
ヒカル:(弓を引き絞り、イスカリオテ目掛けて放つ。
エデンも飛びかかり、ホルスは魔法の詠唱を始めた。)
イスカリオテ:……斬……
ヒカル:(イスカリオテの一撃がエデンに当たり、
エデンは壁まで吹き飛ばされた。
わたしの矢はイスカリオテのわき腹に刺さる。
さらにそこにホルスのヴォルケが命中する。)
イスカリオテ:……封……
ヒカル:(突然足元に巨大な魔方陣が現れた。
次の瞬間、魔法の詠唱をしていたホルスが、
金縛りにあったみたいに動けなくなっていた。)
魔法を封じるのね…
(エデンはまだいけそうだ。体勢を整えて隙を伺っている。
わたしも狙いを定めながら全神経を矢に込めて放つ。
ホルスという戦力を無くしたわたし達は苦戦を強いられた。
それでも、少しずつイスカリオテの鎧がへこみ始める。
エデンの渾身の一撃が当たり、イスカリオテの巨体がぐらりと揺れた。
イスカリオテが体勢を崩し、魔力が途切れたのか床の魔方陣が消える。
すかさずホルスが魔法を打ち込む。
イスカリオテが仰け反った瞬間を見計らって、さらにエデンとわたしの連続攻撃が畳み掛けた。)
イスカリオテ:……ククク……運命は変えられぬ……
ヒカル:(イスカリオテは崩れ落ち、消えていった。)
ふぅ…なんとか倒せたわね。
(よろよろと奥の扉を開けた。)
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■開く者の間
ヒカル:(奥の部屋ではブルメイル司祭が待っていた。)
ブルメイル:『開くもの』よ。
イスカリオテを下しここまでたどり着くとは予想以上の力だ。
ヒカル:開く…もの?
ブルメイル:さよう。そなたは見事に試練を乗り越え『開くもの』となった。
そなたなら、この地上に訪れようとしている災厄を打ち払えるやもしれぬ。
ヒカル:災厄?なんのことですか?
ブルメイル:これから起こる災いを理解するためには、
かつてこの大陸で起こった混沌の歴史を知らねばならん。
ヒカル:混沌の…歴史…
ブルメイル:数千年前、人々は邪神と争いこれを打ち倒した。その名はリヴェリウス。
あらゆるものを破壊し、地上に虚無をもたらそうとした畏怖なる存在。
しかし、リヴェリウスを完璧に屠るには至らず、至高の技でこれを永劫に封印するに留まった。
だが、時今にいたり、この邪神リヴェリウスが長い眠りから目覚めようとしている。
我らが争っている魔族はリヴェリウスの尖兵にしかすぎん。
リヴェリウスの復活を許せば我らに抗う術はない。
ヒカル:そ、そんな…
ブルメイル:しかし、たったひとつだけ抵抗する道がある。それは神の力を借りることだ。
ヒカル:神の力?
ブルメイル:はるかな昔、神の住む神域と、この地上を結ぶ扉が存在していたという。
その扉を開け、神の助力を得ることができれば、再びリヴェリウスを打ち倒すことができるであろう。
そしてその扉を開き、神への使者となるのが『開くもの』である。
扉は異界の住人にしか開くことができない。
貴殿の任は重い。
リヴェリウスが復活する前にこの扉を探し出し、神のもとへ急ぐのだ。
ヒカル:わたしにそんな…
ブルメイル:このアステリア神殿もいつまで魔族の力に耐えられるか分からぬ。
そしてこの神殿の陥落は人類の敗北を意味するのだ。
時間はもうあまりない。
一刻も早く扉を見つけ出すのだ。
ヒカル:は、はい。
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ヒカル:(アステリア神殿を後にして、わたしは参道を歩いていた。)
なんか…すっごく大変な事に巻き込まれた気がするなぁ。
わたしはただ帰る方法が知りたかっただけなのに…
でも、やるって言っちゃったしなぁ…
まぁ、そのリヴェリウスってのを倒せって言われた訳じゃないし、扉を探せって事ならできる…よね。
(本音は不安しかなかったけど、もう後戻りは出来ない。
この先どんなことがわたしを待っているのかはわからないけどきっとなんとかなるよね!)
〜編集後記〜
今回のお話で新たな仲間を加えました。
キューピッドは、クロゲを薦められた時に一目ぼれしたモンスターでこの子をゲットするためにも調理を頑張っていました。
わたしはクジではなく露店で買ったのですが、クジモンスは本当に出にくかったらしいです(´・ω・`)
ホルスは打たれ弱くて、しょっちゅう死んでしまっていましたが、その分愛着はありました。
『開くもの』ではないと言われていたヒカルも、今回の話で無事?に『開くもの』になり、ブルメイルからは何やら厄介ごとを頼まれてしまいました。
ヒカルが無事に自分の世界に帰れるのはいつになるんでしょうか・・・w