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脚本・編集 そんちゃん

  CAST
ヒカル(開くもの) cv.そんちゃん
ルビ cv.ウズ
アリエール
マーチ
cv.よーこ
cv.りん
探偵ハンク
モエコ
cv.水月
cv.うめりんご



ヒカル:(エデンとの再開から数ヶ月が過ぎていた。
     アリュート、セラルカ、ウィルノアとフレイア大陸にある村は全部回ったけど
     元の世界への帰り方の有力な情報は得られなかった。)

    だいぶ冒険にも慣れてきたし、もうちょっと遠くに情報収集に行こうかな〜。

    (エデンと街の外を散策しながら呟いた。)

    エデンもいるし、少しくらい強い所でも大丈夫だよね!

    (エデンの首の辺りを撫でてやると気持ち良さそうにした。)

    このフレイアの南の方にソルキア大陸っていうのがあるんだって〜。
    
    (ソルキアは常夏の島で、
     大昔に巨大都市が存在していたという伝説が残っている。
     そして今も当時のものと思われる遺跡があちこちにあるらしい。
     その巨大都市の文明はとても高度で優れた物だったとか。

     もしかしたら、そこでなら帰る方法が見つかるかもしれない。
     わたしはその可能性を信じてソルキアに向かった。)


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■ソルキア

ヒカル:(今わたしはキリという砂漠の村から北東へ向かっている。

     さっきまでいたキリでレオーネさんというおじいさんから依頼を受けたのだ。

     なんでも巫術師の長であるフォヌンさんという人のお孫さんが
     行方不明になってしまったらしく、色々な人が探しに出たものの、
     そのままその人達までもが帰って来ないそうだ。

     レオーネさんの必死の頼みに
     急ぎの用事もなかったので受けたというわけ。)


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■フォヌンの家

ヒカル:きっとここね。

<コンコン>

アリエール:すみません、
       巫術師フォヌンをお訪ねでしたら今はお会いできませんわ。
       いろいろございまして……申し訳ありません。

ヒカル:あ、えっと レオーネさんから依頼を受けて来たのですが。

アリエール:まあ、そうですか。引き受けてくださるのですね。
       私はフォヌンの娘でアリエールと申します。
       行方がわからなくなっているのは私の息子なんです。
       名前はマーチ。

       いなくなってからずいぶん経ちますが、
       私はきっとどこかで生きてるって信じてるんです。
       今まで何人もの方が探しに行ってくれましたが、
       実は幾人かは戻って来ていないんです…
       とても危険なお願いということは承知しています。
       それでも力を貸して頂けますか?

ヒカル:(子供が行方不明になるという事が母親をどれだけ悲しませるのか…
     それが痛いほどわかるくらいにアリエールさんはやつれていた。

     わたしのお母さんはどうしてるだろう…)

    きっとわたしが探し出します!


アリエール:本当ですか!?
       ……なんとお礼を申し上げたら良いのか……ありがとうございます。
       私の母フォヌンは、巫術師の長として
       本来は多くの方々とお会いする義務があるのですが、
       今は部屋にこもって一日中あの子のために祈りを捧げております。
       もしマーチが帰ってくれば、母フォヌンも祈りの日々から解放されます。

ヒカル:(アリエールさんは部屋の奥から1本のろうそくを持ってきた。)

アリエール:この『希望のろうそく』をお持ちください。
       これは、私の母フォヌンが祈りを込めたろうそくです。
       灯火が消える前に力のある巫術師がこのろうそくを用いれば、
       一瞬にしてこの場所へ帰ってくることができるでしょう。
       そしておそらくマーチにはその力があります。

ヒカル:わかりました。

アリエール:この『希望のろうそく』が導いてくれるます。
       決して無理をしないでくださいね。
       それとひとつ重要なことを話しておきます。
       このろうそくの魔力は60分で効果を失います。
       忘れないでください。

ヒカル:60分ですね。

アリエール:そういえば…マーチがどこにいるのかはわからないのですが、
       フレイアとつながる西の海底洞窟まで探しに行った方は
       誰一人して帰って来ていません。
       ひょっとしたらあそこに手がかりがあるかもしれません。

ヒカル:なるほど。とりあえずそこに行ってみます。

アリエール:よろしくお願いします。どうかお気をつけて…

ヒカル:(アリエールさんはいつまでもいつまでも頭を下げ続けていた。
     …その姿に心が痛む。
     わたしのお母さんもきっと心配してる。早く帰って安心させてあげたい…)


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■ソルキア海底洞窟地下二階

ヒカル:(わたしは、フレイア大陸に繋がるソルキア海底洞窟に来た。
     洞窟をうろうろと歩いていると、怪しい岩がひとつあった。)

     なんだろ…なんか違和感があるなぁ。

     (岩に近寄ってみると、突然手元の『希望のろうそく』の灯りが揺れ、
      隠された階段が見つかった。)

     こんな所に隠し階段だなんて、これじゃわかんないはずよね。
     よし!行ってみよう。


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■黒の祈り

ヒカル:(中は広大な洞窟になっていた。)

    また洞窟…
    いい加減このパターンに飽きてきた…かも。
    でも、文句を言っても仕方ないよね。進むしか道はないんだから。



    あれ…あんな所に女の人がいる。
    …人間…だよね。
    モンスターに変身したりしないよねぇ…

    あの〜…


モエコ:あら……それは巫術師のろうそく……。

ヒカル:…ほっ。人間みたい。

モエコ:そう、あなたあの子を助けに来たのね。
    でも、あなたにあの子を連れ出すことが本当にできるのかしら。

ヒカル:え?どういうことですか?

モエコ:そうそう、これ、もういらないからあなたにあげるわ。

ヒカル:なんですか?この黒い不気味な髑髏?みたいな物…。

モエコ:この奥に進むのなら、きっと役に立つはずよ。
    それじゃせいぜい気をつけてね。

ヒカル:ぅ…こんなの持ってないといけないの…?

モエコ:ところで、ここにくる途中ハンクという男を見かけなかった?

ヒカル:いえ、知りませんけど…

モエコ:そっかあ、追い詰めたと思ったのになあ……

    それ、せっかくあげたんだから、なくさないでよ。

ヒカル:(嫌そうに髑髏を遠くに持っているわたしに言いながら
     女の人は去っていった。)

    気持ち悪いなぁ…もう。

    
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ヒカル:(あ、また人がいる。
     今度は探偵帽にコート?
     うさんくさそう…
     また気味の悪い物を押し付けられたら嫌だからさっさと通り過ぎちゃおう…)


ハンク:ふむ、やはりここではなかったか……。
    おっと失敬、いま灰色の脳細胞が激しく活動中なのだ。
    話し掛けないでもらえるかな。

ヒカル:話しかけてませんけど… 

ハンク:ほほう、そいつはルクツハウゼンの証だな。

ヒカル:ルクツ…?ああ、この髑髏のことですか?

ハンク:しかしどうもあなたはここの組織の者ではないようだ。
    第一にあなたは私に普通に話し掛けた。
    ここの組織の人間だったらそんなことはしないはずだ。
    第ニに、いや今日はこのへんにしておこう。

ヒカル:最初に話しかけたのはそっちだったような…
    ってか言いかけてやめるとか気持ち悪いなぁ。

    あれ?もしかしてさっきの女の人が探してたのって…


ハンク:ふむ。私を探している女性が?なるほど、犯罪の匂いがするな。
     しかし私は先を急ぐ身、早々と退散することにしよう。

ヒカル:はぁ…

ハンク:ではさらばだ。

     おっと、私の名前を知りたいって?

ヒカル:あ、いえ…別に…

ハンク:ははは、仕方あるまい。
    普段は明かさないのだが、今日は特別に教えてあげよう。
    私は敏腕探偵ハンク。
    事件あるところに現れ、颯爽と解決し、
    賞賛を浴びることもなく風のように姿を消す男。

ヒカル:そ、そうですか…

ハンク:しかし、どうやらここはルクツハウゼンの本拠地ではなかったようだ。
    私としたことが単純なミスを犯してしまった。

    だが手がかりはつかんだ。まあ君には分かるまいが。
    おっと、
    君の追っている事件(ヤマ)と私の追っている事件(ヤマ)は違うようだな。
    なぜ分かったかって?君のその憂鬱な顔をみればわかるさ。
    本当はもっと解説してあげたいところだが、私もヒマではないのでな。
    ではさらばだ。

ヒカル:はぁ…

ハンク:と、思ったが、どうにも君がルクツハウゼンについて
    何も知らなさそうな顔をしているのが気になるな。
    ルクツハウゼンについて知りたいか?

ヒカル:あ〜。えっと…教えてください。
    (…オトナの付き合いってこういうことなんだろうなぁ。)

    
ハンク:ルクツハウゼンとは、国家転覆をたくらむ組織のひとつだ。
    近年の魔族の活動や、闇医者連合に関わっているという噂もある。
    そしてその首謀者はルビという子供だそうだ。
    私はさる王族からの特命で彼らの行動を追跡している。

    ようやくアジトをつきとめたと思ったのだが、どうやらはずれたらしい。
    そうそう、君はファーレン王国の古い歴史を知っているか?
    いや、歴史というより伝説に近いものだが。この国を覆う災いの核心に
    近づこうと思うのなら、知っておくほうがいいだろう。ではさらばだ。

ヒカル:はぁ〜。 やっと行ってくれた。
    でもなんか重要な事言ってたよね。

    国家転覆とか首謀者が子供とか…?

    それにこの世界に来てもう結構経ったのに、
    この世界のこと何にも知らないなぁ。
    ファンブルグに戻ったらちょっと調べてみようかな。
    帰るヒントが見つかるかもだし!



    (またしばらく進むと門があった。門の前には見張りが一人。

     戦わないといけないかと覚悟を決めたけど、その心配はいらなかった。
     見張りはわたしの髑髏『ルクツハウゼンの証』を見ると
     黙って門を開けて通してくれた。)

    気持ち悪かったけどさっきの女の人に感謝だなぁ。     
     
    (門を抜けると赤い絨毯が敷かれた部屋があった。
     そして奥には仮面を付けた子供が一人。)

    もしかして、あなたがマーチ?


マーチ:ねえねえ、早くルビ様と戦ってよ。くすくす。

ヒカル:ルビ?
    (その瞬間、背筋がぞくっとした。
     マーチの後ろには杖を持った黒髪の少女がいつの間にか立っていた。
     ただそこに立って笑っているだけなのに全身の毛が逆立つのを感じる。)

    あなたが…ルビ…


ルビ:くすくす。

ヒカル:…これは今までの戦いとは比べ物にならないものになりそうね。
     気合いを入れていかないと本当に危ないわ。


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■戦闘開始

ルビ:さあ、あなたの力を見せてごらん!



ヒカル:(ルビが杖を振ると使い魔が9体召還された。)

     エデン!行くわよ!!

    (矢を雨のように放っても、
     エデンが急旋回で襲ってもルビには攻撃がかすりもしない。)


ルビ:それで勝てると思ってるの?

ヒカル:なんてすばしっこいの…!
    (仕方なく周りの使い魔から先にやることにする。
     使い魔の方は難なく倒すことが出来た。)


ルビ:メテオアっ!!

ヒカル:くっ!
    (それまで攻撃らしい攻撃をして来なかったルビが
     使い魔がいなくなった途端に魔法を詠唱してきた。

     必死で応戦するものの完全に押されている。)

    こ、このままじゃ…


ルビ:この程度じゃあなたも『開くもの』までまだまだだねえ…

ヒカル:え?開くもの?
    (突然ルビは戦意を喪失したように両手をだらんとおろしてしまった。)


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■戦闘終了後

ルビ:そこそこ強いね〜、くすくす。

ヒカル:ルビ!

ルビ:今日はおしまい!また遊んでね!

ヒカル:(ルビの姿はあっという間に消えてしまった。)

    なんだったの…?

    (訳がわからず呆然としているわたしの目の端にマーチの姿が映った。)

    あ、そうだ、マーチ!

    (マーチはわたしがアリエールさんから渡されたろうそくを見ている。
     ろうそくはまだ赤々と燃えていた。)


マーチ:すごいすごい!『希望のろうそく』が消える前にやってきたね!

ヒカル:マーチ、アリエールさんが…お母さんがとても心配してる。
    一緒に帰ろう?


マーチ:あはは、帰らないよ。マーチはいつもルビ様と一緒なんだ。

ヒカル:どうして?お母さんに会いたくないの?

マーチ:ここまで来れたご褒美に、僕の力で帰してあげる。
    それじゃバイバイ。くすくす。

ヒカル:マーチ!
    (光に包まれ、慌ててマーチの腕を掴もうと手を伸ばしたけど、
     わたしの手は空を切った。

     そこはもうさっきまでの場所ではなく、フォヌンさんの家の前だった。)


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■フォヌンの家

ヒカル:(重い気持ちでドアを叩く。ドアは勢い良く開いた。)

アリエール:ああ、ヒカルさん。ご無事でしたのね!
       息子は?マーチは見つかりましたか?

ヒカル:そ、それが…
    (今あった全ての事を話した。)


アリエール:そうですか……仕方ありません……

ヒカル:(力なく肩を落とすアリエールさんに掛ける言葉が見つからない。)

アリエール:でも、私絶対あきらめません、
       本当にありがとうございました。

ヒカル:(顔を上げ、にっこりと笑うアリエールさんを見て、
     母親って強いなぁと実感した。)

     
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ヒカル:(フォヌンさんの家を後にし、ホーン大風穴を抜け、北に向かう。
     目指すのは砂漠の果てにある村、ガルーナ。
     そこには色んな研究家がやってくるらしい。
     今度こそ何か手がかりがあるかもしれない。)




〜編集後記〜

今回は、わたしの大好きなルビの最初のお話です。

『劇団あんだんて』の記念すべき第一弾のボイスドラマ『クロスゲート〜ルビ編〜』は、このルビの最後のお話です。
あちらをもう一度見ていただくと、このドラマも違った目線で見ていただけるかもしれませんねw

今回ヒカルは、フレイア大陸から砂漠のソルキア大陸へと向かいました。

そして、今回のルビには本気モードになってもらいました。
取り巻きの雑魚を2匹以下にするとスイッチが入って、全体魔法と全体混乱を連発してきます。

いつもノッカーを従えているルビですが、実はこのクエでは赤いお化け(スペクター)と剣のモンスター(ブランディッシュ)を従えています。
ノッカーの設定がまだなかったのか、はたまた他に意味があるのかは判りませんが…

少しずつヒカルは大きな流れに巻き込まれていきます。
これからどんな困難が待っているのでしょうか。