51:04 制作 劇団あんだんて
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―――――――――――――――――――――――――――――――――――― <とある探偵事務所の一室。二人の男いる。> アラン「一条、お前は暇なのかい?こんな朝早くから事務所に来るなんて。」 一条「早い?もう9時を回っているぞ。お前はいつも起きるのが遅い。 それに俺は今日は非番だ。」 アラン「仕方ないじゃないか。俺は朝は弱いんだ。」 一条「やれやれ。俺はここに来る前に朝のトレーニングを済ませて来たぞ?」 アラン「トレーニング…? あぁ、えーと… 腕立て、腹筋、背筋、スクワットをそれぞれ20回を3セット…いや、今日が非番なら5セットか? あと縄跳び5分、ランニング10キロだったな?」 一条「良く覚えているな。」 アラン「俺は記憶力がいいんだ。」 一条「そうだったな。 そんな事より、朝飯は食ったのか?」 アラン「朝は…いらない。」 一条「またお前は…。」 アラン「これさえあれば良いんだ… ん〜、今日も良い香りだ。」 一条「本当にお前は紅茶が好きだな。お前の身体は紅茶で出来てるんじゃないか?」 アラン「はは。それも良いな。」 <ピンポーン(インターフォン)> 一条「ん?誰か来たみたいだぞ?」 アラン「この時間なら郵便だろう。一条、頼むよ。」 一条「本当にお前は朝は動かないな…」 <一条が玄関へ向かい手紙を受け取り戻ってくる。> 一条「ほら。」 アラン「ああ、ありがとう。 んー、請求書に…これは、依頼書か?」 <封書を開け、紅茶を飲みながら読む。> アラン「一条。」 一条「ん?なんだ?」 アラン「お前は7日は暇か?」 一条「7日?来週の?」 アラン「あぁ。」 一条「えーと…確かその日は非番だったと思うが… 何か依頼か?」 アラン「いや、お前は3ヵ月前の依頼を覚えているか?」 一条「3ヵ月… あぁあの、人探しか?」 アラン「そうだ。」 一条「それが?」 アラン「この手紙の主は赤嶺さんと言って、その依頼主と探し人の知人だそうだ。」 一条「ほう。」 アラン「例の件について、とても感謝していると…」 一条「ふむ。」 アラン「自分からも是非お礼がしたいと書いてある。 それで、7日にパーティーをするので招待したいらしい。」 一条「へぇ。」 アラン「お前も行こう。」 一条「は?お前が招待されたんだろう?」 アラン「ここには、『ご友人がいらっしゃるなら、是非ご一緒に』と書いてある。」 一条「友人ねぇ…」 アラン「それにお前もあの依頼に関係ない訳じゃないだろう?」 一条「そうだが…」 アラン「豪華客船でパーティーらしい。」 一条「俺には場違いだ。」 アラン「気にしなくても良いみたいだぞ? 軽装で、と書いてある。」 一条「しかし、俺は…」 アラン「ここの所、依頼も落ち着いたし、たまには息抜きがしたいと思っていたんだ。付き合ってくれ。」 一条「そ、その日は忙しい。」 アラン「さっき非番だと言っただろ?」 一条「言った…が…」 アラン「まぁいいじゃないか。お前にも息抜きは必要だ。」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― <7日夕方、港> アラン「あぁ、あの船かな?」 一条「でかい…な。」 <二人が船に近づいて行く。男が1人立っている。> アラン「失礼。赤嶺さんにご招待頂いたのですが。」 草薙「招待状を拝見させて頂きます。」 <招待状を確認する草薙。> 草薙「アラン・ガードナー様ですね。」 アラン「ええ。友人を1人連れてきたのですが?」 一条「あ、一条といいます。」 草薙「はい、かしこまりました。 私は案内役の草薙と申します。 こちらへどうぞ。」 <船内へ案内される。> 草薙「他の皆様はもう到着なさっておいでです。」 アラン「どれくらいの方がいらっしゃっているのですか?」 草薙「お二人を含めて6名様でございます。」 アラン「そんなに大きなパーティーではないのですね。」 草薙「はい。主の個人的な知人の皆様を招いての小さなパーティーだと伺っております。」 アラン「赤嶺さんにご挨拶がしたいのですが。」 草薙「主は今、パーティーの準備をしております。 後程、パーティーが開始された時にご挨拶させて頂くと申しておりました。」 アラン「そうですか。」 草薙「出航は定刻通り17時となっております。それまで暫くご自由におくつろぎください。」 アラン「分かりました。」 草薙「皆様にお部屋をご用意しております。ご案内致しましょうか?」 アラン「お願いします。」 草薙「では、こちらでございます。」 <廊下を歩く3人> アラン「素敵な飾りつけですね。」 草薙「ありがとうございます。主が皆様に楽しんで頂こうと装飾を施しました。」 アラン「ほう。」 一条「アラン。(小声)」 アラン「ん?なんだ?一条。」 一条「この壁に飾ってある絵達はなんだ?(小声)」 アラン「あぁ。 一条、君はルイス・キャロルも知らないのか?」 一条「るい…え?(小声)」 草薙「お部屋はこちらになります。 ごゆっくりとおくつろぎくださいませ。」 アラン「ありがとうございます。」 草薙「それから、お部屋を出て右の廊下の突き当たりにラウンジがございますので、宜しかったらそちらもご利用ください。 ラウンジの隣がパーティー会場のバンケットルームになっております。 パーティーの準備が整いましたら、放送でお知らせ致しますので。」 アラン「分かりました。」 草薙「それでは、私は支度がありますので失礼致します。」 アラン「ありがとうございます。」 <去っていく草薙> 一条「アラン。」 アラン「ん?」 一条「立派な船だな…」 アラン「あぁ、そうだな。」 一条「…俺は疲れた。」 アラン「まだ、来たばかりだぞ?」 一条「パーティーとかそういう華やかな物は苦手なんだ…」 アラン「はは。お前らしいな。」 一条「俺はちょっとここで休憩させてもらう。」 アラン「そうか。 お?一条。」 一条「ん?」 <本を取り上げる> アラン「ちょうど良い物を見つけたぞ。」 一条「なんだ?それは。」 アラン「これがルイス・キャロルだ。 休憩のついでに読んでみると良い。」 一条「俺は…」 アラン「身体を鍛えるのも大事だが、頭に栄養を与えるのも大事だぞ。」 <本を渡す> 一条「あぁ…」 アラン「じゃあ、俺はラウンジに行ってみるよ。」 一条「分かった。後でな…」 <部屋を出るアラン> ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― <ラウンジ。 男と女が2人ずついる。 宮部はラウンジの隅でカウンターに1人で座り何かを飲んでいる。 1人の女は、ソファーに座り携帯を弄っている。 そして、有栖川と京極は最初の男から少し離れた所でカウンターに座り、何やら話している。> アラン「この部屋も素晴らしい装飾だな…。 赤嶺さんは余程センスの良い方なんだな。今からお会いするのが楽しみだ。」 京極「うーむ…こんな洒落た酒じゃ飲んだ気になれんわい。 お、嬢ちゃん。携帯ばっかいじっとらんで、ちょっとこっちに来て一緒に飲まんか?」 女探偵「…。」 <携帯をいじり続ける> 京極「可愛い顔して愛想がないのう。 そう思わんか?」 有栖川「え?私?」 京極「んむ。」 有栖川「そうですわね。もっと今の状況を楽しまれた方が良いと思いますわ。」 京極「んむんむ。お前さんは話が分かりそうじゃのう。どうじゃ?一杯?」 有栖川「いえ、私も結構ですわ。」 京極「うーむ。1人で飲んでもつまらんのう。 そっちのあんたは一緒にどうじゃ?」 宮部「…。」 京極「なんじゃ、愛想のない奴が多いのう。」 有栖川「…それは、貴方がかなりお酒臭いからじゃないかしら?」 京極「そんな臭うかのう?まだワインを3本しか空けておらんのじゃが。」 有栖川「飲みすぎですわ…」 京極「いや、こんな物ワシにとっては水と一緒じゃ。やっぱり酒は日本酒が一番じゃのう。がっはっは。」 有栖川「ぅ… 酷い臭いですわ…」 <17時。船が出航する。> 有栖川「あら、出航ですわね。 そろそろパーティーが始まるのかしら?」 京極「どんなご馳走が出てくるか楽しみじゃのう。がっはっは。」 有栖川「下品ですわね。お食事はきちんとマナーを守ってくださいませね。 せっかくのお料理が台無しになってしまいますわ。」 京極「なぁに、腹に入ればどれも同じじゃ。がっはっは。」 有栖川「ふん。私、ちょっと失礼致しますわ。」 京極「なんじゃ?便所か?」 有栖川「な!…お化粧直しです。女性の嗜みですわ!」 <カツカツと足音を響かせながらラウンジを出て行く有栖川> ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 草薙(館内放送)『皆様。お待たせ致しました。お食事の用意が整いましたので、バンケットルームへお越しください。』 <招待客達が全員集まってくる。> 一条「アラン。」 アラン「疲れは取れたか?」 一条「まぁな。」 アラン「どうだった?本は。」 一条「…俺は身体を動かしている方が性に合ってる。」 アラン「まぁ、確かに。」 草薙「皆様。ご自由にご着席ください。」 <全員座る> 草薙「本日の料理は、主が用意した特別な素材を使用しております。 主は後程来ますので、先にお食事をお楽しみください。」 <次々に食事が運ばれてくる。> 草薙「キノコのマリネでございます。」 一条「…何でこんなにフォークとナイフが。」 アラン「外側から使うんだぞ?」 一条「あ、あぁ…。 箸はないのか…」 アラン「ほう、これは中々旨いな。」 一条「そう…だな…」 <食べるのに苦戦している> 草薙「玉子のキッシュでございます。」 アラン「一条。」 一条「ん?なんだ?」 アラン「向かいの席に座っている紳士、宮部さんじゃないか?」 一条「宮部? …宮部ってあの難事件を解決した宮部さんか?」 アラン「一度だけ写真を見た事があるんだ。 人前に出るのがお嫌いと聞いているが…」 一条「黙々と食べているな。」 アラン「それに… 向こうの席のご婦人にも見覚えがある。」 一条「うーむ。」 <フォークとナイフを置くアラン> アラン「失礼、皆さん。 私はアラン・ガードナーと申す探偵です。本日は皆さまにお会いできて光栄です。」 京極「ほう、君は探偵なのか。 偶然じゃのう。ワシも探偵をやっておる京極という者じゃ。がっはっは。」 有栖川「あら、偶然ですわね。私も探偵をさせて頂いておりますの。 私、有栖川と申しますのよ。」 アラン「そちらにいらっしゃるのは宮部さんですよね? 例の事件解決は本当にお見事でした。」 有栖川「まぁ、この方宮部さんでしたの? 全然気づきませんでしたわ。 私も宮部さんのお名前は存じ上げておりましてよ。 あの事件解決は本当に素晴らしかったですわ。 どうやってあのトリックに気づきましたの?」 宮部「…」 <黙々と食べ続ける宮部> 有栖川「あらあら、聞こえませんでしたの?」 京極「がっはっは。宮部さんは有名人じゃからのう。 そんで、人嫌いというのも有名じゃ。」 有栖川「そ、そんな事、私だって存じ上げておりますわ。」 京極「がっはっは。」 アラン「そちらにいらっしゃるご婦人もTVで拝見させて頂いた事があります。 確か、探偵業をなさってますよね?」 京極「ワシもこの嬢ちゃんは知っとるぞ。ミサちゃんとかゆうたかのう。 TVで見た時にも思ったのじゃが…本物はなかなかどうして…やっぱりええ乳しとるのう。」 山村「…!」 有栖川「最低ですわね…」 アラン「こほん…やはりそうでしたか。 どうやらここにいらっしゃるのは探偵を職にしている方ばかりのようですね。」 京極「これは面白い。がっはっは」 有栖川「あら、では貴方も探偵さんなのかしら?」 一条「お、俺…いや、私は警察官をしております。一条と申します。」 有栖川「あら、そうでしたの。」 アラン「一条は、私の友人です。 今日は私の付き添いで。 皆さん、失礼ですがどうしてこの船に?」 有栖川「私は、招待状を頂きましたの。 優秀な探偵である私の武勇伝を聞きたいと仰るので、忙しい身ではありますがこうして来ましたのよ。 ですのに、肝心の赤嶺さんがまだいらっしゃらないなんて…」 京極「がっはっは。ワシは、旨い酒が飲めると聞いてのう。」 アラン「なるほど。理由はそれぞれですが、探偵をしている人間が意図的に集められた訳ですね。 …これはただの偶然なのでしょうか。」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 草薙「ウミガメのスープでございます。」 一条「ウミガメ…?」 アラン「珍しいですね。」 草薙「はい。特別に沖縄から取り寄せた物です。」 京極「どれどれ…」 <ズズズッと音を立ててスープを飲む> 有栖川「ちょっと!もっと上品に食事出来ませんの?」 京極「日本人なら汁物は音を立てて飲むもんじゃ。」 <ズズズ> 有栖川「…せっかくのお料理が台無しですわね。」 京極「ん?なんじゃこれは?」 アラン「どうかなさいましたか?」 京極「皿の底に何か書いておる。」 一条「…ぉ、俺のもだ。 これは…ひし形…?」 京極「ワシのはハートじゃ。」 有栖川「私はクローバーのようですわ。」 アラン「私はスペード… それぞれ絵柄が違うようですね。」 京極「中々凝っとるのう。」 草薙「本日のメインディッシュ。 ウサギのフィレ・ステーキでございます。」 京極「おぉ、これまた旨そうじゃ。 …ちょっとすまんが、箸を貰えんかのう。」 草薙「はい。かしこまりました。」 一条「あ、わ、私にも箸を…」 草薙「はい。少々お待ちくださいませ。」 京極「やっぱ日本人は箸じゃの。 のう?一条さん。」 一条「まったくその通りです。」 京極「がっはっは。」 有栖川「もっと静かに食事出来ないのかしら…」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 京極「ふぅ… 食った食った。腹いっぱいじゃ。」 一条「どれも素晴らしい料理でしたね。」 草薙「ありがとうございます。 最後に紅茶とお菓子をご用意致しました。」 アラン「ほう。この紅茶は中々…」 有栖川「あらあら、このクッキーも美味しいですわね。 まぁ、私が贔屓にしているパティシエのスイーツの方が美味しいですけれど。」 京極「なんじゃ、食後は紅茶のみか?ワシは酒が良いんじゃがのう。」 一条「…紅茶は苦手だ。」 アラン「ははっ。一条、君はコーヒー派だもんな。」 草薙「申し訳ございません。珍しい茶葉が手に入ったので、主が皆さまにどうしてもこの紅茶をお召し上がり頂きたいと。」 アラン「確かにこれは中々味わえない物ですね。」 草薙「ありがとうございます。」 京極「ワシは茶の違いなんぞわからん。」 有栖川「貴方のような方には、この繊細な香りは一生分かりませんわ。」 京極「匂いなんぞわからんでもええ。質より量がワシのモットーだからの。がっはっは。」 有栖川「ガサツですわね…」 京極「そんなしかめっ面ばかりしていると皺が増えるぞ?」 有栖川「な、皺なんてありませんわ!」 アラン「まぁまぁ、お二人さん。せっかくの紅茶です。楽しみましょう。」 有栖川「そうですわね。 そんな事より、赤嶺さんはまだ来られませんの? もう食事も終わってしまいましてよ。」 アラン「そうですね。出航してからもう3時間は経っています。」 <スピーカーから声が響く。> デルタ『諸君、まずは初めまして。私は、諸君らを歓迎する。』 京極「なんじゃ?」 デルタ『しかし、残念ながら私は諸君を招待した人間ではない。 私の事は…そうだな、『デルタ』とでも呼んでくれ給え。 諸君を招待した赤嶺は、私のゲームが終わるまである場所に居てもらう。 諸君は腕の良い探偵だと聞いている。 私はゲームが好きでね。 是非とも諸君には私の用意した簡単なゲームに参加して貰いたい。 なに、難しい事ではない。 赤嶺を探し出すだけだ。 私の謎を解きさえすれば、おのずと主は見つかるだろう。 それから、この船は放って置いても明朝には元の港に戻る予定になっている。 港に戻るまでに見つけられなければゲームオーバーだ。 しかし、ゲームをクリアすれば主も諸君も、かすり傷ひとつなく解放する事を誓おう。 聡明な諸君の事だ。 私の用意したゲームなど容易くクリア出来るだろう。 では、マッド・ティーパーティーを始めよう!』 有栖川「一体なんなんですの?」 京極「ゲームとか言っておったのう。」 アラン「…。」 一条「誘拐事件か!? 本部に連絡を…」 <携帯を操作> 一条「ぐっ… 圏外かよ…」 京極「港から大分離れたようじゃからのう。」 有栖川「ちょっと貴方。」 草薙「は、はい。」 有栖川「放送室は何処ですの?」 草薙「あ、ご案内致します。」 京極「ワシも行くぞ。」 一条「では、俺達も。 アラン?行くぞ。」 アラン「あぁ。」 <放送室へ向かう。> ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― <放送室> 有栖川「誰もいませんわね。」 一条「ん?何かあるぞ。」 <手に取る。> アラン「ICレコーダーのようですね。」 有栖川「あら、このICレコーダーなら私が使っている物と同じですわ。 ちょっと貸してくださいな。」 <ICレコーダーを再生。放送と同じ声が流れる。> アラン「ふむ。先程の放送はそれを再生していたようですね。」 京極「放送室に鍵はかかっておらんかった。という事は、誰でも操作可能と言う事か。」 アラン「草薙さん、食事の放送をされたのは貴方ですね?」 草薙「はい。」 アラン「その放送はここからなさったのですか?」 草薙「そうです。」 アラン「では、その時このICレコーダーはありましたか?」 草薙「いえ…なかったと思いますが…」 有栖川「なるほど… 私もう分かっちゃいましたわ。」 京極「何がじゃ?」 有栖川「お分かりになりませんの?先程の放送の『デルタ』と名乗る男の正体ですわ。」 京極「ほう?」 有栖川「この船の事に詳しく、放送室の設備も熟知している貴方なら簡単ですわよね?草薙さん。」 草薙「え、そんな私は…」 有栖川「大方、パーティーの余興にでもしようとなさったのではなくて? こんな子供じみた推理など私の手に掛かれば…」 草薙「いえ!私は今回のパーティーの為に雇われただけです!」 有栖川「あら、そんな言い訳が通るとでも?」 京極「まぁまぁ、嬢ちゃん。それこそそんなトリックじゃ子供でも分かるわい。」 有栖川「まぁ!私の知能が幼稚だと仰りたいの?」 アラン「まぁまぁ、落ち着いてください。 草薙さん、貴方は食事の放送の後どちらへ?」 草薙「皆様のお食事の給仕をする為にキッチンへ向かいました。」 一条「俺がそれを証明しよう。」 アラン「一条?」 一条「俺は、放送の直前に草薙さんに会ったんだ。 で、一緒に放送室へ行った。放送中は中で待っていたんだ。 待ってる間、放送室を見回していたが、機材以外何もなかった。これは断言出来る。」 アラン「ふむ。その後はバンケットルームで全員が給仕をしている草薙さんを確認している…と。」 有栖川「あら、一条さん…でしたかしら? それは本当の事なのかしら?」 京極「疑り深い女じゃのう。」 有栖川「探偵ですもの、当然ですわ。 草薙さんと示し合わせているのかもしれませんもの。」 アラン「友人である私が証明します。一条は信用出来る男です。 …ところで、宮部さんとあのご婦人はどちらへ?」 草薙「あ、先程皆様がこちらの部屋に向かわれる時に、お二人とも部屋に戻られました。」 有栖川「あらあら、近くで宮部さんのお手並みを拝見したかったですのに… 残念ですわね。」 アラン「まぁ、宮部さんは他の方がいると推理に集中出来ないと聞いていますが…。」 京極「がっはっは。宮部さんの人嫌いもここまで来ると感心するのう。」 有栖川「もう1人の方は、きっと貴方のせいでお部屋に引き篭ってしまったんですわね。」 京極「なんでじゃ?」 有栖川「先程、貴方はあの方にセクハラをなさったんですのよ?」 京極「がっはっは。」 有栖川「本当…最低ですわ。」 アラン「有栖川さん。すみませんが、もう一度音声を再生して頂けますか?」 有栖川「えぇ、構いませんわ。」 <音声が流れる。> アラン「すみません、今の所をもう一度。」 <再生する。> アラン「草薙さん。この船に柱時計はありますか?」 草薙「柱時計… あぁ、一つだけあります。」 アラン「では、その部屋に案内して頂けますか?」 草薙「はい。」 一条「アラン?」 アラン「声とは別に柱時計の音がした。 微かにだが、如何にもわざとらしく…」 一条「ほう。」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― <柱時計の部屋。鍵を開ける。> 草薙「こちらでございます。」 有栖川「あらあら、殺風景なお部屋ですこと。」 京極「柱時計と… 小さな机しかないのう。」 アラン「この部屋にはいつも施錠を?」 草薙「はい。この部屋は、今回使う予定がなかったので…」 一条「ん?机の上に何かあるな。」 <一条が机に近寄る。> 一条「ICレコーダーと… む?下に紙が。」 <紙を拾い上げるアラン。> アラン「ふむ… 『君は耳がいいな』か…」 有栖川「馬鹿にしてますわね。」 アラン「一条、再生してみてくれ。」 一条「あぁ。」 <ICレコーダー再生。ノイズが流れる。> 有栖川「何ですの?これ。」 京極「スピーカーのノイズかのう。」 アラン「ふむ…」 <ノイズの最後にドアが閉まる音。> 有栖川「私はっきり聞こえましたわ!ドアの閉まる音がしましたわ!。」 京極「嬢ちゃんだけじゃのうて、全員聞こえたらしいぞ?」 有栖川「わ、分かってますわよ。」 アラン「一条、もう一度再生してくれ。」 一条「あぁ。」 <不規則なノイズ> アラン「ふむ… 有栖川さん、そのICレコーダーも再生してみてくれますか?」 有栖川「ええ、良いですわ。」 <デルタの挑戦状が流れる> アラン「…なるほど。」 有栖川「なんですの?自分だけ分かったようなお顔なさらないでくださいな。」 アラン「失礼。 この不規則なノイズのトリックが分かりました。」 京極「ほう?」 アラン「このノイズは人為的に空白が挿入されています。 有栖川さん、一条、二つのICレコーダーを同時に再生してみてください…」 <レコーダー再生。> 京極「これは…」 アラン「途切れ途切れですが、ノイズの合間に新たな言葉が聞き取れるのです。 そして、抜き出した言葉を繋げると… 『私は諸君と共にいる。』 」 京極「共に?この中の誰かということかの?」 有栖川「やっぱり…貴方が怪しいですわ! 私の推理は正しかったという事ですわね。」 草薙「え、私はそんな事…」 アラン「まぁ、待ってください。まだトリックは全て解けてはいません。 一条、最後の方だけもう一度頼む。」 一条「ああ。」 <ICレコーダーを操作> アラン「草薙さん。この船はいつ頃出来たのでしょう。」 草薙「えっと…」 一条「半年前だ。」 草薙「え?」 一条「(咳払い)」 アラン「一条?」 一条「お、俺は… 廊下で写真を見つけたんだ。」 アラン「写真?」 一条「あぁ、沢山の絵が飾られた壁に一枚だけ写真を見つけたんだ。 この船が完成した時の物に間違いないだろう。丁度半年前の日付も書かれていた。」 アラン「なるほど。 最後に入っているドアの音は少し軋んだ音がしました。 完成から半年の新しい船で、そんな音がするとは思えません。」 有栖川「じゃあ、他の場所で録音されたのかしら?」 アラン「そうかもしれません。ですが… わざわざ最後に入っているからには、一つ目と同じように今回もヒントでしょう。 それにこのメモ…『君は耳がいいな』。そして、『私は諸君と共にいる。』」 京極「そうじゃのう。」 アラン「という事は、この船の中で録られた可能性が高い。」 草薙「…軋むドア。もしかして…」 アラン「思い当たる所が?」 草薙「はい、一箇所だけ立て付けの悪いドアがあります。」 有栖川「まぁ、それは何処ですの?」 草薙「キッチンです。」 <キッチンへ向かう一行> ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― <キッチン前> 草薙「こちらです。」 <ドアを開ける> 京極「本当じゃ。立て付けが悪いのう。」 一条「さっきのICレコーダーに入っていた音と同じだな。」 有栖川「本当ですわね。」 一条「どうした?アラン?」 アラン「さて、そろそろ最後の仕上げのようです。 草薙さん。すみませんが紅茶を一杯頂けますか?」 草薙「あ、はい。かしこまりました。」 有栖川「お茶を頂いている場合ですの?」 アラン「まぁまぁ、皆さんも如何ですか?」 京極「ワシは酒の方が良いのう。」 一条「俺はいい。」 有栖川「私も結構ですわ。それより何か分かったのならさっさと仰ってくださいません?」 草薙「お待たせ致しました。」 アラン「あぁ、ありがとうございます。 ふむ… やはり素晴らしい香りだ。」 <紅茶を一口飲む> アラン「さて、草薙さん。 最後にお伺いします。 柱時計の部屋の鍵はいくつもあるのですか?」 草薙「いえ、私が主から預かったこのマスターキーだけです。」 アラン「では、あの部屋にはこれまで何回入りましたか?」 草薙「今回が初めてです。主からあの部屋は使わないと言われたので…」 アラン「ふむ。しかし、柱時計があの部屋だけにあるという事は知っていたんですね?」 草薙「はい。大事な預かり物の柱時計があるから、あの部屋は掃除もしなくて良いと言われたのです。」 アラン「なるほど。良くわかりました、ありがとうございます。」 草薙「いえ…。」 京極「えらくもったいつけるのう。」 <紅茶をもう一口飲む> アラン「そうですね。私の推理は甲板でお話ししましょうか。」 一条「ここじゃ駄目なのか?」 アラン「もう日も暮れた。甲板からは素晴らしい星空が見えるだろう。 ここには街の灯りもないからな。」 一条「またお前は…」 有栖川「キザですわね。」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― <甲板> アラン「それでは、私の推理をお話しましょう。 デルタの残したヒントは、2つのICレコーダーと『君は耳がいいな』と書かれたメモ。 これは音を良く聞けという意味でしょう。 そして、二つの音声を重ねると浮かび上がる『私は諸君と共にいる。』というのは そのまま、この中にデルタが居るというヒントです。 二つ目の音声にはこのキッチンへと導く、軋むドアの音が入っていました。 さて、皆さん思い出してみてください。 この船は立派ですが、おおよそファンタジーとは無縁の外観をしています。 しかし、中の装飾はファンタジーの世界に迷い込んだかのような可愛らしい絵画や小物で飾られていました。 そのどれもがひとつの童話をモチーフにしていると気付いた方も少なくないと思います。 そして、今夜の素晴らしいディナーもその世界を表現した物でした。 キノコのマリネ、玉子のキッシュ、ウミガメのスープ、メインはウサギのフィレ・ステーキ…そして、食後は紅茶のみ。 ウミガメのスープの皿にはそれぞれ違った絵柄が描かれていました。 ハート、クローバー、スペード… そして、一条はひし形と言いましたがあれはダイヤです。 そう、皿の絵はトランプを指していました。 そろそろ、なんの童話をモチーフにしているか、皆さんも気付かれたのではないですか? その物語は、幼い少女が白ウサギを追いかけ不思議の国へと迷い込みます。 かじると身体の大きさが変化するキノコ。 帽子屋のお茶会。 ハートの女王にトランプの兵隊。 そして、卵のハンプティ・ダンプティ。 その童話とは…ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』、そして続編となる『鏡の国のアリス』。 赤嶺さんはよほどアリスにご執心と見える。 そして、これを聞いてください。 有栖川さん、デルタの音声を最後の方だけ再生して頂けますか?」 有栖川「ええ、構いませんわ。」 <最初のICレコーダーを再生> デルタ『では、マッド・ティーパーティーを始めよう!』 アラン「マッド・ティーパーティーとは、アリスの登場人物である帽子屋、マッドハッターが参加していたお茶会です。 赤嶺さんとデルタの共通点である『不思議の国のアリス』。 これはただの偶然ではなく、赤嶺さんがデルタだというヒントです。 そして、その共通点である『不思議の国のアリス』は、さらにもう1人の人物を導き出します。 先程上げた二つの作品の主人公はそのタイトルの通り、アリスです。 ただの偶然だと思って良いのでしょうか?有栖川さん。」 有栖川「そんなのこじ付けですわ。」 アラン「そうですね。では、違う見方をしてみましょう。 有栖川さん、貴方は、草薙さんの放送の直前にお1人で出て行かれましたね?」 有栖川「お化粧直しに行っただけですわ。」 アラン「えぇ、そう仰ってました。 それは誰か証明出来ますか?」 有栖川「…誰も出来ませんわ。」 アラン「貴方は、草薙さんと一条が放送室から出てくるのを待って、放送室に入りICレコーダーを置いた。 違いますか?」 有栖川「…。」 アラン「それに、2つ目のICレコーダーがあった場所。 柱時計の部屋には鍵が掛かっていました。 鍵は、草薙さんしか持って居ないので当然あの部屋に入れるのは草薙さんだけですが… しかし、草薙さんに鍵を渡す前に赤嶺さんが柱時計の部屋にICレコーダーを予め置いておく事は可能です。 草薙さんに鍵を渡した後は、誰一人として柱時計の部屋には入っていないのですから。」 有栖川「わ、私はデルタの放送があった時には貴方方と食事をしておりましたわ。」 アラン「はい。それは私を含めここに居る全員が証明出来ます。 しかし、一つ目のICレコーダーにはトリックがあったように思います。」 京極「ほう?」 アラン「有栖川さん、そのICレコーダーを貸してください。」 有栖川「…。」 <受け取ったICレコーダーを操作> アラン「やはり。」 一条「なんだ?」 アラン「このICレコーダーには2つのトラックが存在します。」 京極「二つじゃと?」 アラン「一つは、デルタの挑戦状。 そしてもう一つには…無音です。」 一条「無音?」 アラン「無音のトラックは3時間もあります。」 一条「3時間?」 アラン「食事のメニューを考え、タイミングの指示も出しておける雇い主の赤嶺さん本人であれば、 放送室にICレコーダーを設置し、食事が終わった頃に合わせてデルタの音声が流れるように時間を計算して 無音のトラックを用意する事も可能な筈です。 有栖川さん、貴方はあのICレコーダーを自分が使っている物と同じだと言って操作した。 トラックが2つある事に気付かない訳がありません。」 有栖川「…。」 アラン「以上が貴方が赤嶺さんであり、デルタである証明です! チェックメイト!」 有栖川「ククク… 見事だ。 その通り!僕がデルタだよ。」 一条「デルタ、何の為にこんな事をしたんだ!」 デルタ「深い意味なんかないさ。ただの暇つぶしだ。」 一条「暇つぶしだと…?」 デルタ「君達には…特にアラン、君には大いに楽しませてもらったよ。礼を言おう。」 アラン「お褒めに預かり光栄です。」 デルタ「僕はそろそろお暇するとしよう。 なに、安心したまえ。この船は明日の朝には予定通り元の港に戻るよ。」 <手すりに近付く> 一条「海に飛び込む気か? 待て!そうはさせない!まだお前には聞きたい事があるんだ!!!」 <デルタに駆け寄ろうとする一条をアランが引き止める> アラン「まぁ、一条落ち着け。 今回は被害者が居る訳でもなく、美味しい料理も食べられたし、何より素晴らしい紅茶を飲ませて貰ったんだ。 ここは目をつぶろうじゃないか。」 一条「しかし、これは軽犯罪法違反にあたるぞ!」 デルタ「はっはっは!何処までも君は面白いな!また逢おう!」 <デルタが飛び降り、水上バイクで逃走> 一条「な!水上バイクだとぉぉぉ!? アラン!お前のせいで取り逃したじゃないか!!」 京極「がっはっは。逃げられたのう。」 一条「ぐぬぬ…」 アラン「そうですね。中々面白い趣向でした。」 京極「面白いとな? お主は根っからの探偵なんじゃのう。がっはっは。」 アラン「それはそうと京極さん。もしかして貴方はデルタの正体に気付いていらっしゃったんじゃないですか?」 京極「ん? …さあ、どうかのう。がっはっは。」 一条「なんだ?犯人を取り逃したというのに楽しそうだな…」 京極「お前さんもあんまりカッカしとると長生き出来んぞ?がっはっは。」 <去っていく> 一条「な…!ちょっと待て!」 アラン「まぁまぁ… ところで… 一条?」 一条「ん?なんだ。」 アラン「お前は、食事の前は何をしていたんだ?」 一条「…何がだ。」 アラン「1人で部屋にいた筈のお前が、何故草薙さんのアリバイや船の作られた日にちまで知っていた?」 一条「偶然だ!偶然! お前と合流しようとしていて偶然放送室の前で会ったんだ!」 アラン「ほぉ?」 一条「…なんだよ。」 アラン「ラウンジは、部屋を出て右の突き当たりだ。 俺が部屋を出てラウンジに着くまでに放送室など見当たらなかったけどな?」 一条「…。」 アラン「まさか…迷子になったりしてないよな?」 一条「そ、そんな訳ないだろう!」 アラン「ふ〜ん?」 一条「な、なんだその目は!」 アラン「いや?なんでも。 ふふっ」 一条「じゃあなんで笑ってるんだ!」 アラン「あっはっはっは!」 一条「アラーン!お前なぁぁぁぁ!!!」 END |
●団員コメント● ◆shin 主人公に抜擢され、取り直しを含めがんばりました。 カッコいい主人公を目指しましたが、 素の自分…マイペースがでてしまっていたかもしれませんw でもカッコイイの声を貰えたのは嬉しかったです。 1年がかりの大作でしたが、設定を作り、トリックを作り、話を作り録音・・ 完成したものを聞かせてもらった時は、感慨深いものがありました。 テレビや小説で推理物を見てる方には物足りなかったかもしれませんが そのあたりはご容赦くださいw ◆りなどん 全国の りなどん ファンの皆様!! 今回は「一条 護」という警察官の役をやらせて頂きました。 いつもの事なんですが、標準語?が難しくてとても困りましたね。 それ以外は、特に役作りは考えず、そのまんまの「りなどん」です。 何度録りなおしても「これだ♪」ってのが生まれず、試行錯誤の繰り返しでした。 最後までお付き合いしてくれた団員に感謝感謝です。 ◆そんちゃん 今回の役は、またもや今までにない役をやることになり、嬉しい反面苦労もありました。 自分の思うものにならず、何度もやり直しましたがその分思い入れの深いキャラになったように思います。 有栖川からデルタに変わるところはとても楽しくできました。 上手くできたかどうかは…みなさんの判断にお任せしますw ◆まめ鋼 「豪快に笑う」というのが思った以上に難しかったですね。 意識して笑うというのも日常でないことはないけどもそれを録音するとなると なかなかどうして(笑) 何度もやり直したりしたので、録音中はさぞかし賑やかだったろうと思います。 ともあれちゃんとできてたかな?という不安とできるだけの事はしたという達成感の入り混じる気持ちです。 最後にこの作品を何度でも聞いてみたいなと思って頂ければ幸いです。 ◆ライト 今回のオルトロス 探偵達の晩餐会いかがだったでしょうか。 設定から何もないところから作成するのは難しいこともありましたが、 団員みんなで協力してアイデアを出し合い、楽しく参加できました。 練習もほぼ毎週参加して、いろいろと他の団員からアドバイスをいただき、 草薙さんらしくできたと思います。 演じることは難しいですが、それ以上に楽しく、 また完成品を聴いたときの感動も大きいです。 ぜひ、続編があれば参加したいです。(悪役で!) ではでは、草薙役 ライトでした。 |
●編集後記● 今回は、編集が今までで一番じゃないかと思うほど難しかったです。 BGM選びに苦労し、どこまで効果音が必要なのかを悩みましたが、良いものにはなった気がします。 推理小説を読まないメンバーで作った作品ですので、ところどころおかしな所もあるかもしれませんが、ご愛嬌ということでw これからオルトロスが何度も聞かれ、愛される作品となる事を願っています。 もちろん他の作品たちもw 劇団あんだんては、この作品で解散となりましたが、今後もボイスドラマ作りは頑張っていきたいと思います。 一人になって、これまでのような作品が作れるのか不安だらけですが、これまでの経験を生かし頑張ります。 これまで応援してくださった皆さん、ドラマを聞いてくださった皆さん、出演してくださった多くの皆さん、 そして何より、頼りない団長に付いて来てくれた団員のみんな、本当にありがとうございました(*- -)(*_ _)ペコリ 団長 そんちゃん |