2:12:07

脚本 パフェ

  CAST
冒険者:シド cv.ハロ
元泥棒:ソフィー   cv.パフェ
盗賊リーダー:ベルト cv.春一番
盗賊:ギン cv.shin
盗賊:コ cv.ジュニ
盗賊:モコ cv.そんちゃん
商人:アレックス cv.まめ鋼
Barの主人
センラ

鉄の扉
  cv.しんじょうとうや
cv.りなどん

cv.そんちゃん


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-扉の前

    
シド:(先日の仕事の依頼報告でBarを訪れた。)

       マスター、報告遅くなって悪い。


  
Bar主:あぁ、シドか。かまわんよ。
       で、仕事はどうだったんだ?


    
シド:あぁ、ソフィーさんの昔の家を調べに行った。

  
Bar主:家かぁ、預かってる報酬はこれだ。
       あの女、ソフィー?そんな名前だったか。


    
シド:仕事の依頼終了後も、ソフィーさんといろいろ話をしていたんだ。
       そうそうマスター
       Barじゃ人探しの依頼なんてあるのか?


    
モコ:・・・ソフィー?

    
シド:(俺とマスターが話しをしていると
        カウンターの奥から少女がこちらへやってきた。)


 
 Bar主:おぅ、モコも来ていたのか。

    
モコ:マスター今、 ソフィーって言わなかった?

  
Bar主:なんだ、モコの知り合いか?

    
シド:・・・モコ??

  
Bar主:なんだ、モコもシドも、どうした?

    
モコ:シド・・・?
       それより!!マスター、ソフィーが来てたの!?


  
Bar主:あぁ、あの髪の長い女だろ。
       ずいぶん前だが、依頼を請け負っていたよ。


    
モコ:依頼って・・・。

  
Bar主:ここにいるシドが、今その仕事の報告に来てるってわけだ。
       何か聞きたいなら、シドに聞くんだな。
       俺は仕事の話以外は、何もしらんぞ。


    
シド:(マスターがそう言うと、モコはゆっくり俺の前までやってきた。)

   
 モコ:ねぇ!シドさん!!
       ソフィーと会ったの!?
       お願い!その話を聞かせて!!!

    
シド:(少女を見つめる。
        この子がモコか、さっきまで10歳にもみたない
        子供だと思っていた・・・。
        ついさっきまでは。)


      
 ・・・モコ。
       随分・・・大きくなったんだな・・・。


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-冒険者のドア

    
 シド:(久しぶりに仕事の話が舞い込んだ。
         冒険は久しぶりだ。
       
         最近はコルチェの溜まり場も、すっからかんって事が多い。
         学園が出来てからというもの
         ここファンブルグの城下町もひっそりしている。)


  
Bar主:南地区の外れにいる、髪の長い女が仕事があると言ってたな。

     
シド:(久しぶりだしな、ソロでいけるのか?
         そんな事を考えながら歩いていると、南地区へと着いた。
         髪の長い女〜 女〜っと。

         町は本当に静かだ。
         静かなお陰か、探している女はすぐにみつかった。
         髪の長い、なんか暗そうな女だ。)

        どうも!こんにちは

        (そう声をかけると、静かに女は振り返った。)


   
ソフィー:・・・こんにちは。

     
シド:Barのマスターから仕事があるって聞いて来たんですけど。

   
ソフィー:マスターから聞いて来てくれたのね。
         ありがとう、私はソフィーよ


     
シド:どうも。俺はシドって言います。

   
ソフィー:シドさんね。あなたは冒険者?

     
シド:まぁ、勇者でもないんでそんなところですよ。

   
ソフィー:ふふ、勇者でもないか・・・。
         面白い事を言うのね。


     
シド:面白かったですか?

   
ソフィー:えぇ、とても^^
         それじゃぁ、早速お願いしようかしら。



     
シド:(そう言ってこの人、ソフィーさんは仕事の話をし始めた。
       
         なんでも、ファンブルグの南地区から外へ出て
         ずっと東に行った所にある『富豪の隠れ家』??とかいう屋敷、
         そこへ行って中がどうなっているか見てきてほしい。   
         それが今回の仕事の内容だった。
         仕事と言うか・・・調査だな。

         言われた通りファンブルグの南地区から外へ出る。
         今回の仕事は簡単そうだ。
         久しぶりの仕事だと張り切ってBarを出たが
         仕事の内容を聞いて、拍子抜けだ。
         まぁ、モンスターを倒すだけが仕事じゃないからな。
         こんなもんか。

         だが1つ面白い事を言っていたな。)



   
ソフィー:実は私・・・以前ウィルノア周辺を騒がせていた泥棒だったの。
       
     
シド:俺、盗みはできませんよ?

   
ソフィー:ふふ、大丈夫よ。頼みたい事はそういう類ではないの。

     
シド:はぁ・・・。

   
ソフィー:それに、今は足を洗っているわ。

     
シド:まぁ、そういう事にしておきますね。

   
ソフィー:あら、信じてないの?

     
シド:そういう訳じゃないんですけど・・・
        (この人本当に泥棒か?まったくそうは見えない・・・w)


   
ソフィー:私は昔ね、ドア開け名人と呼ばれるほど
        どんなドアでも開けて、盗みを働いていたの。
        だけど、そんな私でも1つだけ開ける事ができなかったドアがあるの。
          
        泥棒をやめた今でも、あのドアの事が気になるの。
        あのドアの先はどうなっているのかが・・・。
        頼みというのはね、私の代わりにそのドアを開けて
        先がどうなっているのかを見てきてほしいの。

      
     
シド:わかりました。
        って・・・そのドア開かないんですよね?


   
ソフィー:私は開けることが出来なかったけれど
        謎さえ解くことが出来たら、あけられるかもしれない。


    
シド:(謎解きktkr)

   
ソフィー:これがそのドアの鍵のヒントよ。


     
シド:泥棒ねぇ〜   

        (まったく泥棒には見えない。
         ぼーっとしてそうな、女性だ。)
        
        そうだ、もらったメモ、メモと。
        えっと、なんだ?これ。

        (秘密の番号に、扉の鍵ぃ〜?
         意外と頭を使う系なのか?
         まぁ行ってみれば分かるか〜

         イール方面へ渡る橋の近くに、その屋敷はあった。
         見た目は普通の屋敷だ、特に変わった様子もない。

        
         
ゆっくりとその屋敷へ 俺は入った。)

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-富豪の隠れ家

     
シド:(屋敷の中は 豪華絢爛、とまではいかないが
         それなりに家具が揃い、住み心地は良さそうだ。

         ただ、この屋敷・・・
         地下がある・・だと・・・。
         どうやら1階建てではなさそうだ。
        
         ソフィーさんから貰った
         ヒントの書いてあるメモを読み返す。)
   
        えっと・・・なんだっけ?
        屋敷の内部に鍵がある・・・

     
  
 ソフィー:(屋敷の内部に鍵があるわ。
          鍵は、鉄の大きな扉の奥の部屋にあるはず。

          そしてその鍵をみつけたら、鉄の扉に鍵を一度刺し
          秘密の番号を入力するの。
        
          秘密の番号というのは、4桁の数字。
          鍵を入れる度に変わる、不思議な仕掛け。
        
          1〜9の数字で構成されているらしいの。
          1〜9の数字は同じものが使われる事はない。
       
          数字を入れるたびに扉にヒントが出る。
        
         そして、7回以上間違えれば鍵は壊れてしまう。)


     
シド:ふむふむ。
        
        (ということは・・・。
         ソフィーさんは鍵を壊した口かw

         7回もチャンスがありゃ、いけるだろ!

         メモを片手に屋敷の中を歩いていると
         なんか、背後に視線を感じた。)

        ん?誰かいるのか?

      
熊:がおおおおおおお!!ヽ(`(ェ)´)/

     シド:(えええええええええ!?

         行き成り背後から熊が襲いかかってきた
         ちょwwwまwwww)
        
        うおおおおおおおお!!

        (ここは屋敷の中だろ!?
         なんで熊なんかいんだよ!?
         って思わず走って逃げる俺。

         ここは森か!?
         なんで熊wwwwwwwwww

         まだ追ってくるwww

         こうなりゃ仕方ねぇ!!)


*戦闘開始*

    
 シド:ふぅ〜・・・。
        お前がいけないんだぞ!行き成り襲ってくるから!
        
        (俺の横で、熊がひっくりかえっている
        
         あれ??

         この熊よくみたら首輪をしている・・・。
         って・・・おい。
         首輪に光るものが・・・。
    
         これ・・・鍵だよな??
 
         まさか、これが扉の鍵って事・・・ないよな?
         まぁ、いい。
         とりあえず戦利品として、持っていくか。
   
         そして次の階でも・・・)


      熊:がおおおおおおヽ(`(ェ)´)/

     
シド:またお前かあああ!!

        (次の階でも通りすがりに熊に襲われた
         この屋敷どうなってるんだ!?

         地下へ続く階段へ俺はそのままダイブした。

         痛ェ・・・。
        
         地下何階だろうか?
         熊に追われていたせいで、ここが何階かもわからない。
         それにこの屋敷には、何匹?熊がいるんだよ・・・。
       
         鉄の大きな扉
         もしかしたら、見逃したのかもしれないな
         そんな不安を抱きながらも
         俺はまた地下へ続く階段を下りた。)


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-秘密の暗号

     
シド:(;゚д゚)ァ....

        (階段を下りた先に、大きな鉄の扉が待ち受けていた
         ラッキー♪
         通り過ぎたってことはなかったようだ。
         扉の前に立つと 改めてその扉の大きさを実感する
         2mくらいはあるんじゃないか?
        
         その威圧感はと言うと、この世界に飛ばされて来たとき
         訓練とかいいながら剣を向けてきたアーメイさんくらいの威圧感ある。
        
         あのジジィ・・・
         初めて見たときマジ怖かった・・・。

         まぁそんなことはどうでもいい。
         目の前の扉をだな・・・。

         さっき熊から奪った鍵をなんとなく挿してみる)
        
        うぉ!?


    鉄の扉:秘密の番号を入力してください☆

     
シド:(なにいいいいい!?
         これ・・・扉の鍵なのかよw
         熊が持ってるとか どぉなの?

         ってことは待て・・・

         入力に7回失敗したら
         また熊を探して・・・鍵とってこいって落ちじゃないよな?

         ソフィーさんは別室にも鍵あるって・・・。
         そうだ焦るこたぁない!!)

    鉄の扉:秘密の番号を入力してください☆

    
 シド:(もし7回失敗したって
         別室に取りに行けばいいだけのこと
         それにしても・・・秘密の番号ってなんだよ
         1〜9だっけ??
         秘密だけに 1(ひ)3(み)2(つ)とか
         そんな単純なこと・・・ないよな?w)


    鉄の扉:秘密の番号を入力 し て く だ さ い ヽ(`д´;)/

     
シド:(ちょww
         なんか心なしか機嫌悪そうに聞こえたんだけど;
         これ機械だよな・・・?

         とりあえず適当にいれてみるか
         まぁ基本だよな・・・)


    鉄の扉:入力した数字、1234 は
         秘密の番号と
         0個の数字が一致、
         1個の数字が含まれる
         *含まれている数字の数は、一致している数字の数を除いてある  

     
シド:(ハイこれ来た!
         なんだって?0個の数字が一致
         1個の数字が含まれる・・・


       
 じゃ、次いってみますかっと!)

    鉄の扉:入力した数字、5678 は
         秘密の番号と
         1個の数字が一致、
         2個の数字が含まれる
        
     
シド:ぅーん

    鉄の扉:入力した数字、1569 は
         秘密の番号と
         1個の数字が一致、
         1個の数字が含まれる        
    
*入力中*

    鉄の扉:扉が開きます

     
シド:(;゚д゚)ァ....開いた。

        (案外あっさり開いたもんだ。
         重い扉を押し開くと
         中は埃まみれの、ただ汚いだけの部屋だった。

         奥に進むと、ひっくり返ったテーブルや椅子
         そして本棚があった。

         本棚に目をやると、そこにはたくさんのスキルの書があった。)

        鍵作りの本か・・・。

        (これがソフィーさんが狙ってたお宝?
         ・・・なわけないよな?
         100Gそこらで買えるだろうよ

         やっぱ泥棒なんて嘘か?)

        なんだこれ。

        (本棚から、らくがき帳をみつけた。
         子供の字のようだった。
         文字の練習をした後だ。
         アルファベットが形も歪にならんでいる。

         そしてらくがき。
         下手くそにも・・・ほどがあるwww

         ぁ・・・。
         そして一枚の絵に目が止まった
         髪の長い・・・たぶん女の顔だろう。

         そしてその絵の下に
         さっきの文字と同じような筆跡で
         ソフィーと書かれていた。)
   
        ソフィー・・・。

         (その次のページにはまた似顔絵だろう
         誰かの顔が書かれていた。
        
         ソフィー ベルト ギン コン モコ と。

         なんか落ちたか?
         らくがき帳から一枚の写真が出てきた。

         その写真には少年少女
         男が2人、そしてソフィーさんが写っていた。

         俺はその写真を片手に部屋をでた。)


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-嘘と真実の間

     
シド:(富豪の隠れ家を後にして
         ソフィーさんの元へと向かう。
        
         ソフィーさんは一体何者なんだ?
         嘘をついているのは明らかだった。
         盗みに入ろうとした屋敷じゃない。
         たぶん、ソフィーさんはあそこに住んでいたんだ。

         すると子供達はソフィーさんの子供なのか?

         街で見たソフィーさんと
         写真の彼女はまるで別人のようだ。
         顔はそっくりそのままだが
         写真には、ソフィーさんの笑顔が刻まれていた。)

        ソフィーさん?

   
ソフィー:シドさんおかえりなさい。
         鉄の扉はどうだった?
         話を聞かせて。  


     
シド:あぁ、思ったより簡単に開きましたよ。
        それから屋敷に首輪のついた熊が何匹もいましたよ。
        あれはソフィーさんが飼ってた熊ですか?


   
ソフィー:ぇ・・・。

     
シド:あの屋敷は、あなたの家だったんでしょう?
        こんなものをみつけて来ましたよ。

        (ソフィーさんにさっきの写真を手渡す
         写真を受け取ると
         ソフィーさんは今にも泣き出しそうな顔をした)


   
ソフィー:これは・・・。

     
シド:鉄の扉を開けて中に入ったら
        本棚に落書き帳が・・・
        その間に挟んであったんですよ。

   
ソフィー:モコの・・・落書き帳ね・・・。

     
シド:なんで嘘なんてついたんですか?
        あなたは、あの家に盗みに入る必要ないだろ。
        自分の家なんだから。

   
ソフィー:自分の家・・・。
        そぅ・・・ね。
        私の家だった・・・。

        嘘を言って、ごめんなさい。
        
        でも、今はあの屋敷も
        国が管理をしているの・・・。


     
シド:国が管理??

  
 ソフィー:えぇ。
        
        私が戻った時にはもう
        あの屋敷は・・・
 
        ・・・こんなものが、残っていたなんて。
        シドさんありがとう。
        
        よかったら、昔話を少し聞いてもらえないかな。

    
-------------------------------------------------------
-ソフィーのドア

   
ソフィー:あの屋敷は、私の全てだった・・・。

        (あの屋敷に住むまで、
         私は1人だった。ずっと、ひとりぼっちだった。
         ・・・私には家族がいなかったの。
         生きて行くために選んだ職業・・・。
         それが泥棒だった。
 
         なんでかしらね。
         仕事の途中で、ミスをしてね。
         モンスターに襲われて、負傷したの。
         護衛の人間に捕まりそうになった時
         ある人に助けられたのよ。
        
         モンスターに襲われて傷だらけだった私を抱えて
         あの屋敷へ、導いてくれた。

         その人が、あの屋敷の主人・・・
         盗賊団のボス、ベルトだったのよ。
      
         何も聞かず、
         私の傷が癒えるまで、あの屋敷へ置いてくれた。)


    
ベルト:ソフィーさん。身体の調子はどうだ?

   
ソフィー:ありがとう、ベルトさん。
         大分良くなりました。


    
ベルト:そうか、よかった。

   
ソフィー:ぇえ、本当にありがとう。

        (その時はまだ、彼らが盗賊団だとは知らずにいた・・・。
      
         最初は私も、そこが富豪のお屋敷なんだって聞かされていたの。
         ここに居る彼らは富豪が戻るまで屋敷の管理をしているんだと。
      
         ある夜にね、彼らが仕事に出かけたの。
         私はまだ足を負傷していたせいで、留守番を頼まれていたのよ。)

 

    
ベルト:ちょっと出かけてくる。なに、クマの餌を取りに行ってくるだけだ。
  
   
ソフィー:(あの時はそう、言っていたっけ・・・。)
       
    
ベルト:モコ達が寂しがるから、ソフィーは屋敷に残ってくれ。
    
  
 ソフィー:(笑顔でベルトは出て行ったわ。

         
その日の夜明け。
          戻ってきた彼らの手にはたくさんの財宝が握られていた。)  
  

   
  モコ:ベル兄(にぃ)、ギン兄(にぃ)おかえり!

     
コン:ベル兄!兄貴!おかえり!!

    
ベルト:ただいま。

     
ギン:おう!帰ったぞ!

   
ソフィー:ベルト・・・。

    
ベルト:ソフィー、ただいま。

   
ソフィー:これは・・・。

    
ベルト:見ての通りだ、ソフィー。

        ・・・ここは富豪の隠れ家でもなんでもない。
        オレが作ったアジトみたいなもんだ。

        黙っていて・・・すまない。
        俺達は、その・・・盗賊なんだ。


   
ソフィー:そ・・そぅなのね。        

    
ベルト:ソフィー、このまま俺たちと一緒に暮らさないか?
        お前も・・・同業者なんだろ?
 

   
ソフィー:ぇ・・・。    

    
ベルト:悪い・・・。
        ソフィーの事を少し調べさせてもらった。


   
ソフィー:・・・。

    
ベルト:ソフィー。
        俺の事も少し話てもいいか?

   
ソフィー:(何も言わない私に、ベルトは自分達の事を語ってくれた。)

   
 ベルト:俺たちにはもともと家族がいない。
        お前の世話をしてくれている
        コンやモコもそうだ。
        
        肉親がいない。
        そんな俺達が生きていく上で
        選んだのが、この仕事だ。
        
        表向きには、旅の行商といったところか。
  
        俺は、そうだな。
        コンと同じくらいの年の頃に
        ここのボスに拾われて、それからこの仕事をしている。

        もともとはウィルノアの豪邸で働く・・・奴隷だったんだ。


   
ソフィー:奴隷・・・。        
        
    
ベルト:そう・・・親に売られたんだ。
        
        よくある話だ。

        最初は、預けられたと思っていたが
        そこの主人に、お前を買ったのは失敗だったと言われて
        初めて俺は売られたんだな、と悟ったんだ。

        その後、その屋敷に盗みに入った親方に拾ってもらった。


   
ソフィー:そぅだったのね・・・。
         
    
ベルト:まぁ・・・俺はそんなとこだな。
        
        コンも同じようなもんだ。
        コンは分かるよな?


   
ソフィー:えぇ、元気のいい男の子。

    
ベルト:あいつも俺と同じだったと聞いている。
        ギンがいつだったかコンを連れてきたんだ。

        いまじゃ元気にしているが。
        最初の頃、コンはひどかったな・・・w
 
        噛み付くのも日常茶飯事だった。

        それから、モコも。
        モコはお前とはしゃべるのか?


  
 ソフィー:ぇ・・?

    
ベルト:あいつは男とは、ほぼしゃべらない。
        しゃべらないんじゃなくて
        たぶんしゃべれなくなったんだと思う。
        ソフィーは女だから、大丈夫だと思うんだが・・・


  
 ソフィー:モコ・・・。
   
        
(そぅいわれてみると
         よく部屋を覗きに来てくれるけれど
         自分から話しかけてはこない・・・。)      

    
ベルト:女のお前なら分かるだろう。
        女が奴隷で売られると、どうなるか・・・。
        子供だってそれは変わらない。

   
ソフィー:・・・。

    
ベルト:モコもその一人だ。

        でも、モコも最近は明るくなったんだ。
        しゃべってくれるようになった。
        コンの後を付いて回ってるうちに
        笑うようにもなった。

        そうやって気が付けばまた1人、また1人と同じ様な仲間が増えた。
        
        ちなみに屋敷にいるクマも迷いクマだw。
        ひょんなことから出会い、ずっと共にいる。
       
         
        だからお前も同じだ。
        お前がいいなら、ここにずっといて構わない。
        もちろん嫌なら出て行っても構わない。

        オレはここに居るみんなを家族だと思ってる。

        ・・・ソフィー、お前もオレ達の家族にならないか?

   
ソフィー:ベルト・・・。

   
 ベルト:まぁw
        返事は、すぐにとは言わない。
        ソフィー次第だ。


   
ソフィー:(そう言ってベルトは笑顔で部屋を出て行った。

          私はそれからも、ずっと富豪の屋敷に居たの。
         
          怪我も治って、仕事も出来るくらい回復した。
          あの夜の話は、それ以来ベルトは何も言ってこなかった。
        
          私は返事をしないままだった・・・。)
    


-------------------------------------------------------
-狐疑の男


     
ギン:お前、怪我はどうなんだ?

   
ソフィー:大分・・・よくなりました、ありがとう。

    
 ギン:直ったなら、さっさと出て行け!!

 
  ソフィー:・・・す、すみません。

     
コン:兄貴、急にどうしたんだ?  

    
 ギン:俺はお前を認めるわけにはいかない!
        仲間に、もしものことがあったら・・・
        

     
コン:兄貴!ソフィーは大丈夫だよ!

    
 ギン:コン!お前は黙ってろ!!

     
コン:む・・。

     
ギン:ソフィー、お前が何のためにここに入ったかしらねぇが
        何かあってからじゃ遅い!
        分かってるんだろぉな??


   
ソフィー:・・・はい

    
 ギン:こいつらに何かあったら
        俺がお前を殺す!
        いいな!!

   
ソフィー:・・・はい。

    
 コン:ソフィー?
        びっくりしたよね・・・w

   
ソフィー:そ・・そぉね。

     
コン:兄貴、すぐ怒るとこもあるけど・・・。
        でも大丈夫!!
        ソフィーもすぐ仲良くできるよ!

   
ソフィー:コン、ありがとう

   
  コン:へへ!俺はソフィー好きだよw

   
ソフィー:わたしも、コンが大好きよ^^

        (私をよく思わない仲間もいた。
         それは当然の事だと思う。
         私の素性をしれば、怪しく思わない方がおかしい。

         でもそれでも・・・。
         私はあの屋敷を離れる事が出来なかった・・・。)



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-文字と唄


     
コン:ソフィー出来た!!

   
ソフィー:ん?どれどれ。

     
コン:俺ってば結構上手いじゃん!

   
ソフィー:ふふふ、コンはとっても上手よ
        コン、ここの文字が逆になってる Sはこうよ。

    
 コン:あーそうだった!
           
     
モコ:ソフィー!あたしも出来た(*´∇`*)

  
 ソフィー:モコは何が出来たのかなぁ?

    
 モコ:みてみて!!これソフィーだよ!!

  
 ソフィー:わぁ〜モコありがとう
        上手に描けてるわ
        モコはとっても絵が上手ね


    
 モコ:えへへ

     
コン:モコうめぇなー

    
 モコ:ねぇコン。ここに名前書いて!ソフィーって書いて!

     
コン:おお!まかせろ!!

 
   
ソフィー:(ベルト達が仕事で出払っているときには
         コンとモコと一緒に過ごしたの。
        
         まるで、弟や妹が出来たようだった。
         コンはね、文字を知らなかったの。

         だから、一緒に過ごすようになったある時
         コンには文字を教えるようになった。

         そしてモコには歌を教えたの)


        ふんふん〜ん〜♪ (鼻歌できらきら星)

    
 モコ:ソフィーそれなに?

  
 ソフィー:ぇ?それって

    
 モコ:いまソフィーが言ってたやつ

   
ソフィー:あぁ、歌ね。

    
 モコ:歌?

   
ソフィー:そう、きらきら星っていう歌よ

   
  モコ:きらきらぼし!!

   
ソフィー:モコはこの歌知らない?

    
 モコ:知らない〜(´・ω・`)

  
 ソフィー:じゃぁ教えてあげる

   
  モコ:ほんと!!!

   
ソフィー:ほんと^^ じゃぁ歌詞はコンに書いてもらおうか^^

     
モコ:うん!!コン呼んでくる!!
        ソフィー待ってて!!!あはは〜♪


   
ソフィー:うん。まってるわ♪

         (そうしてモコに歌を教えたの
         コンが歌詞を書いてくれて
         モコが歌の練習に、文字を読む練習

         二人はとても楽しそうだった。
         そして、私も。)


    
 モコ:Twinkle, twinkle, little star,
        How I wonder what you are♪
        Up above the world so high,
        Like a diamond in the sky.
        Twinkle, twinkle, little star,
        How I wonder what you are♪


    
 コン:おぉー!!!モコうめぇww

   
ソフィー:モコ上手〜♪

    
 モコ:(*´∇`*)えへへ

    
 コン:トゥインクル〜トゥインクル〜♪

   
  モコ:コンは下手っぴww

     
コン:ぇーそんなことないじゃん!

  
 ソフィー:あははw二人とも上手よ♪

         (2人が可愛くてたまらなかった
         愛しくてたまらなかった

         そして、あの人も・・・。)


   
 ベルト:おーい。クマたちの餌の買出し、今日は誰だ!
        餌が空っぽだったぞw


     
コン:モコが当番だろー

   
  モコ:ぇーあたし、この間行ったばかりだもん!

   
 ベルト:誰でもいいから早くいって来い!
        2人して行って来いよw


    
 モコ:コンが行くって〜!

    
 コン:えーまたオレかよー

    
ベルト:お前たち、ちゃんと餌やれよー?
        あいつらは食わないとイライラしだすからな


    
 モコ:コン!早くしないとコンが食べられちゃうんだからね!w

     
コン:わかったよ〜; 行けばいいんだろ、行けば〜

   
ソフィー:あはは。じゃぁコン、私も付き合うわ

        (毎日が本当に幸せだった。
         みんながしている仕事は、大きな声では言えないものだったけれど
         それでもみんなと居る時が、今までで一番の幸せな時間だった。

         そして・・・あの屋敷での生活にも慣れた頃・・・。
        
         ベルトが大きな仕事をするという話を聞いたの。)


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-暗雲低迷


    
ベルト:次の仕事はウィルノアの例の豪邸だ。

     
ギン:あの白い、糞デカイ豪邸だろ?

  
 ソフィー:ウィルノアの・・・。

    
ベルト:そうだ。

   
  ギン:話によると裏で売買した美術品やら、なんやらが
        たんまりあるって話だ。

  
 ソフィー:あの豪邸へ行くのね・・・。

    
ベルト:ああ。

    
 ギン:コン、お前も今回は連れて行く。
        よーく話聞いておけよw

    
 コン:うん!!!

    
 モコ:わたしは???

     
ギン:全員が行ったら、このアジトはどうするwww
        モコはこのアジトの女神だって、この前教えたろ!

    
 モコ:神様の役なんてつまんないもん

    
 コン:モコ〜大事な役なんだぞぉ〜?

   
 ベルト:俺たちが帰る場所だからな。
        無くなったら、モコはどこで寝る?
        それにソフィーだって居るんだ、大丈夫だろう?


     
モコ:無くなるのは嫌!!
        じゃ・・じゃぁモコ!神様がんばる!!


   
  ギン:じゃぁ、モコは向こう行ってろw
        これから俺達は大事な話だ。

    
 モコ:はぁ〜い

   
 ベルト:ソフィー、悪いがモコを頼むな。

   
ソフィー:ベルト・・・
        私も行くわ・・・。
        私にも、仕事をさせて。
     

    
 ギン:はぁ??
        何言ってやがる!!
        お前に大事な仕事なんて頼めるかよ!

   
  コン:兄貴ぃ〜><

     
ギン:この前言った事、覚えてねぇのか?
        お前がここにいること事態なぁ!!!


    
ベルト:ギン!!よせ!!

     
ギン:ベルト!!てめぇも、てめぇだ!!!
        いつまでも、こんな素性もわからねぇ奴を置いときやがって


   
 ベルト:ギン!!お前は黙ってろ!

    
 ギン:チッ・・・。

    
ベルト:ソフィー、手伝うって事はどういう意味か
        わかってるよな?


  
 ソフィー:えぇ。
        分かっているわ。

        それに、あの豪邸の一部の鍵なら覚えているし
        役に立つかは、分からないけれど・・・
        私にも仕事を手伝わせて!


    
ベルト:・・・。そうか、分かった。
        じゃあ準備をしておいてくれ。


    
 ギン:はぁあぁ???
        こいつも連れて行くだ?
        ベルト!!俺は絶対認めない!!


  
 ソフィー:ギン・・・・。

     
コン:兄貴!!ソフィーは大丈夫だよ!!
        兄貴が思ってるような
        悪い人じゃないよ!!!


    
 ギン:コン!!お前まで!!!

    
ベルト:決まりだな。

     
ギン:てめぇ!!
        俺の話を聞いてんのかぁ?


    
ベルト:クッ

    
 コン:兄貴!!!やめてよ!!!

   
ソフィー:ギン!やめて!!

    
ベルト:ギン、俺が決めた事は絶対だ!

   
  ギン:チッ・・。
        どいつもこいつも・・・・
        わけわからん女に・・・・・

        もぉ、しったこっちゃねぇ!!!
        この話!!俺は降りる!!
 
        行くならお前らだけで行け!!!

   
ソフィー:ま、待って!ギン!!

    
ベルト:ソフィー!
        お前は行くな!
        後で俺から話す。

     
  
 ソフィー:で・・でも。
        
    
ベルト:・・・コンもソフィーも
        そんな顔するなw
        大丈夫だ、あいつにはちゃんと話をする。

    
 コン:ぅん・・・ わかった!

   
ソフィー:ベルト・・・ごめんなさい。

    
ベルト:だから、大丈夫だ。
        それに、ギンがキレるなんて日常茶飯事だろ?w

    
 コン:まぁ、そぉだけどさぁ〜?

   
 ベルト:コンは食事の後
        メモを持って俺の部屋へ来い。
        文字、もう書けるんだろぅ?


    
 コン:うん!!

    
ベルト:お前と俺の初めての仕事だ。
        失敗のないように覚えるまで書け。


    
 コン:うん!!わかったよ ベル兄!

    
ベルト:ソフィーも後で話そう。いいな?

  
 ソフィー:・・・はい。


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-交わされた約束


   
ソフィー:(そして、私はベルト達と仕事をすることになったの。
         結局、あの日以来、ギンは屋敷へ戻って来なかった。
         他の仲間も・・・一部の人がこの仕事から手を引いたわ。

         それでもベルトは仕事をすると言った。
         私のせいで、仲間がバラバラに・・・。

         このままじゃいけない
         そう思って、屋敷を出る話もしたのだけれど
         ベルトは私が出て行っても、仕事をする事に変わりないと言ったの。

         だから・・・私は残った。
        
         少しでも、役に立つ為に。
         少しでも、みんなの傍に居たかったから・・・。
       
         人数が減った分を、自分も頑張って補うとコンも言ってくれた。
         私の事を気にしてか、モコまでもがこの仕事に参加する事になったの。
         そして、ウィルノアの豪邸に忍び込んだ。

         ウィルノアの、あの白い大きな豪邸に忍び込んだのは、2度目だった。
      
         ベルト達と出会ったのもその豪邸近くだった。
         あの日、ベルトは私と出会った時、下見をしていたの・・・。

         この日のための下見を。
    
         私は、仕事の依頼で、初めてあの豪邸に忍び込んだ。
         私の仕事っていうのは、本当は鍵師といって
         いろんな扉の鍵を作る仕事をしていたの。
         そしてその鍵のほとんどが、盗みに入るためのもの。
         その日も、開かないと言われている扉の鍵を調べに行ったのよ。

         でも、誰も居ないと聞いていたはずの屋敷に・・・
         沢山の護衛がいたの。

         急いで逃げ出したのだけれど・・・途中の罠で怪我をして
         豪邸近くで倒れているのを、ベルトに拾われた。

         そして、この仕事をベルトがすると言った時に思ったの
         この為に、私は生き残ったのだと。
         ベルトやコン、モコ達のために
         何かの役に立つ為に・・・生かされた命だって。

         少しでも、彼らの役に立てるのなら
         私はそれだけで・・・・)


     
モコ:きゃぁあぁあぁぁ

   
ソフィー:(私達はウィルノアの豪邸に忍び込み、
         数点の美術品を盗み出すことに成功したわ。
         そして、逃げ出す途中・・・。
         モコが以前の私のようにモンスターの罠に引っかかってしまったの。)

        モコぉぉぉ!!!

   
 ベルト:モコぉおぉぉ!

   ソフィー:モコ!待ってて今すぐ助けるから!!

    
ベルト:待て!!ソフィー!!

 
  ソフィー:(駆け出そうとした私をベルトが止めたの。)

        
ベルト!!離して!!!

         (気がつくと、私達の直ぐ後ろにも、
         横に続く通路にもモンスターや護衛が迫っていた)


   
 ベルト:ソフィー、よく聞け!
        俺が合図を出したらモコの居る場所まで走れ!!
        あとのモンスターは俺がなんとかする!!!
        いいな!!!

   
ソフィー:待って!
        逃げるなら一緒に!!!

    
ベルト:いいから聞け!!!
        俺なら必ずお前達の元へ戻る!!
        約束する!だからお前達は先に行け!!


   
ソフィー:でも!!!

   
 ベルト:ソフィー!!!!!

   
ソフィー:わ・・わかったわ。
        ベルト・・・これが終わったら
        私も、あなた達の家族になりたい。
        仲間になりたい!

        
    
ベルト:ソフィー、お前はもうとっくに俺達の仲間だ。
        俺たち・・・俺の家族だ!
        モコを頼んだぞ・・・



        
今だ!!!ソフィー行けぇえぇえぇ!!!!

-------------------------------------------------------
-少年の誓い

   
ソフィー:(ベルトの掛け声で私は一直線にモコの元へ向かった
       
        モンスターがモコに噛み付こうとする瞬間が目に入った。
        私は出せる精一杯の力でモンスターに飛びついた。
        持っていた剣をモンスターに突き刺したの。

        それは、どのくらいの時間だったろう・・・

        モンスターを倒し
        ぐったりとしているモコを抱きかかえて、豪邸を飛び出した。
        出口はベルトのおかげで、すんなり抜けることが出来た。

        でも追手は、なかなか引き返さなかったの。
        途中の山道で、見張りをしているコンのところまで走ったわ。)



    
 コン:ソフィー!! ・・・モコ!?

  
 ソフィー:ごめんなさい。モンスターの罠にモコが・・・
        
   
  コン:モコ!! モコ!!!
      
   
ソフィー:コン!ここはもういいわ!
        早くモコを連れて引き返すのよ!!

        
     
コン:もういいって!どういうことなの!?
        ベルトは?どうなったの??
        ねぇ!!ソフィー!!!!


 
  ソフィー:コン!いいから聞いて!!
        まだ追手が振り切れていないの。
        こんな所にいたら、みんな捕まってしまうわ!
 
        追っては私がなんとかする!!
        だから早くモコと屋敷へ戻って!!!


   
  コン:嫌だ!!!
        オレも残る!!!


   
ソフィー:コン!時間がないわ!
        ベルトに頼まれたの、モコをお願いって。
        だからこれは絶対よ!
        後はコンだけが頼りなの。
        モコを連れて早く!


    
 コン:わ・・わかった!!
        ソフィー、ソフィーもベルトも戻ってくるんだよね!!
        ねぇ!ソフィー!

  
 ソフィー:コン、約束する。
        必ず、あなた達の元へ戻るわ
        
        お願いよ。今、モコを救えるのはあなただけなの


   
  コン:わかった!!モコは俺が必ず守るから!!
        必ず守ってみせるから!!
        だからソフィーも戻ってきて!!

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-薄れ行く意識の中で

   
ソフィー:(コンはそういい終わるとモコを背負って山道を戻っていった。
         私も、追っ手を振り切るために来た道を戻り・・・
       
         それからのことは・・・まだ今も記憶が曖昧なの。
         途中に出くわした護衛をなんとか倒して・・・
         コンの後を追い、屋敷へ戻ろうとファンブルグへ続く洞窟へ入った。

         意識が朦朧として、次に気づいた時には・・・
         セラルカという村の、商人の家で寝ていたの。

         ウィルノアからファンブルグへ向かう途中の洞窟で
         私はきっと力尽きたのね・・・。        

         そしてその洞窟の中で倒れている所を商人一家に助けられた・・・        
      
         セラルカで目覚めた私は
         深い傷を負ってしまっていたせいなのか・・・。
         名前以外の記憶がなくなってしまっていたの。
         そう・・・家族がいた事を・・・忘れてしまっていたの・・・。

         それから、私は記憶のないままセラルカで生活を始めた・・・。)


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-夢の中の幸福

  
ソフィー:(今思えば・・・セラルカでの生活は 夢の中の出来事・・・。
         そう、そんな風に感じるわ。

         私は、気がつくとセラルカの商人の家で目が覚めた。
         怪我が治るまでそこで休んでいけと、
         商人一家の息子、アレックスが言ってくれた。
         私は今までの記憶をなくして、住む家も何も覚えていなくて
         アレックスの言うまま・・・優しさに甘えた。

         そして、怪我が治った後も
         アレックスはとても親切にいろいろな事を教えてくれた。
         アレックスの知り合いの元で働く事にもなったの。
         服を作る仕事よ。
         私は一生懸命仕事を覚えたわ。
         記憶のない不安を埋めるように、仕事をした。

         今でも覚えてる。
         私が始めて作った服が売れた日のことを。
         アレックスに話すと、彼は自分のことの様に喜んでくれたの。
         私はそれがとてもうれしかった。
         そして、話はどんどん広がって
         いつか自分の店を持ちたいなんてそんな話にまでなった。


         記憶をなくして、セラルカで暮らすようになって2年が過ぎた頃
         私は服職人になった・・・。)

  
アレックス:ぁー明日はファンブルグの方まで行かなくちゃならないか。

   
ソフィー:ん?何か買いにいくの?

  
アレックス:いや、届け物さ。
        そうだ、ソフィーも行って見ないか?


   
ソフィー:行って見たいのだけど、明日は私も仕事があるの。
        頼まれていた服を仕上げなくっちゃ♪


  
アレックス:あぁ、例のワンピースかw

   
ソフィー:そうなの!とっても素敵よ♪

 
 アレックス:そうだね。僕もとっても似合うだろうと思ったよ。

  
 ソフィー:そうね、アンジェラさんきれいだもの。

 
 アレックス:違うよ。キミにだよ、ソフィー

  
 ソフィー:ぇ・・・w

  
アレックス:キミもたまには、仕事を休んで出かけないと。
        最近僕は、キミの作業着しか見ていないw


   
ソフィー:あははwそぅね!私も何か自分の服を作ってみようかしら。

 
 アレックス:うん!それはいいね♪
        その時は一緒に出かけよう♪

  
ソフィー:(服職人になった私は、たくさんの人の服を作った。
         そして自分の店も持つようになったの。
         私と、アレックスのお店よ・・・。)


  
アレックス:じゃぁ、配達にいってくる。
        店を頼むよ、ソフィー。


   
ソフィー:いってらっしゃい^^気をつけてね♪

  
アレックス:夕方には帰るから^^

  
ソフィー:(私は幸せだった。
         もう、その頃は記憶が無くなった事さえ
         どうでもいい事に思えた。
         アレックスがいて、私がいて。
         お店があって仕事をして・・・。

         そんな何気ない、普通の生活が
         私は好きでたまらなかった。)


   
   
 センラ:こんにちはソフィーちゃん。

   
ソフィー:あら、センラさんいらっしゃい^^

    
センラ:ご主人おる?

   
ソフィー:アレックスなら配達に行っていますけど・・・。

   
 センラ:いやぁ〜それがなぁ・・・ 困ったもんや。

   
ソフィー:何かあったんですかぁ?

    
センラ:いやいや 金庫やねんけどな、
         大事なもんしまってたんやけど、
         いざ開けよう思ったらカギ無くしても〜てなw


   
ソフィー:それは、困りましたねぇ;

    
センラ:それでな、
         この前もアレックス君がカギ開けてくれた事があってやな、
         また頼みに来たんやw
         まぁ この前のは 引き出しのカギやってんけどなw


  
 ソフィー:そぉだったんですかぁ。

    
センラ:金庫言うても金目のモンが入ってる訳やない、
        悪いけど これ預かっといてや。

    
   
ソフィー:預かるのはかまいませんが・・・。

    
センラ:彼が帰ってきたら、みてもらえるように頼んでくれへんか?

   
ソフィー:分かりました^^それじゃぁ、お預かりします。

         (その日帰ってきたアレックスに金庫を見てもらうことにした。)



  
アレックス:ただいま^^

   
ソフィー:おかえりなさい^^

  
アレックス:お店ありがとう、何か変わった事はなかったかい?

   
ソフィー:大丈夫よ^^
        あ、1つだけ、センラさんから金庫を預かっているわ


  
アレックス:え?金庫?
        なんでまた・・・。


   
ソフィー:それが、センラさん金庫の鍵をなくしちゃったとかで
        以前にもアレックスが開けてくれたから
        また見てほしいって^^


  
アレックス:あははwセンラさんまた無くしちゃったのか
        でも前回のは引き出しの鍵だよぉ〜?
        金庫の鍵なんて開くかな?
        まぁ、一度見てみようか^^

   
ソフィー:えぇ、お願い^^

-------------------------------------------------------
-記憶の鍵


 
 アレックス:んー金庫の鍵かぁ?
        以前の引き出しは針金をいれて、ちょいと持ち上げただけで
        簡単に開いたんだよ


   
ソフィー:うふふ、そぉだったのね。

  
アレックス:まぁ、とりあえず
        ちょっといじってみよう・・・。


   
ソフィー:(アレックスが金庫に針金をさして
         カチャカチャと動かす。

         カチカチ、カチャカチャ・・・。
         すると頭の中でその音が響き渡った。

         音と共に、頭の中にいろいろな種類の鍵が出てきた。
         そしてそれを手にする自分の姿・・・)


  
アレックス:やっぱり、金庫の鍵なんてそんな簡単に
        開かないかぁ・・・

        ん?ソフィー??
        どうかしたのかい?

        顔色が、悪いぞ・・・・

        っておい!!
        ソフィー!!! ソフィー!!!



   
ソフィー:(気がつくと、私はベットで寝ていた・・・。)

  
アレックス:気がついたかい?ソフィー

  
 ソフィー:アレックス・・・。

  
アレックス:急にキミが倒れるから、びっくりしたよ
        心臓が止まるかとおもった。

        
 
  ソフィー:私・・・どうして。

 
 アレックス:少し疲れているのかもしれない。
        最近、ずっと仕事し続けていただろう?

        今日はゆっくり眠ろう。
        もし、明日も具合が悪いようだったら
        町の病院へ行こう。


   
ソフィー:えぇ、あなた・・・ごめんなさい。

  
アレックス:大丈夫だから^^今日はもうおやすみ、ソフィー。


   
ソフィー:(深夜・・・。
         ふと、目が覚めた私は、センラさんの金庫を見に行った。
         なぜかは分からない。
         でも、どうしても金庫が気になって仕方なかった。
        
         そして金庫を目の前にすると
         その金庫は簡単に開く気がしたの。

         アレックスが使っていた針金を
         金庫にさす・・・。

         金庫は数回、カチャリと鳴くと
         カチといって、開いた。

         私の知らない方法で・・・金庫は簡単に開けられた。
         でもそれを操ったのは私の手。

         その日・・・。
         私は何かを思い出したのだと思った。)


-------------------------------------------------------
-鍵の行方

  
ソフィー:(次の日から、原因不明の頭痛が始まった
         頭痛がすると、アレックスに話すと
         アレックスは私をファンブルグの病院まで連れて行ってくれた。


  
アレックス:ソフィー?先生はなんだって?

   
ソフィー:原因ははっきり分からないみたい・・・。
        疲れから来てる場合もあるから
        ゆっくり休むように言われたわ。


  
アレックス:そうか、やっぱり少し休息が必要だね。
        店を出してから、休みという休みなんてなかったし
        これも、いい機会かもしれない
       
        少し店も休んで、旅行でも行かないか?


   
ソフィー:アレックス・・・。

  
アレックス:ソフィー、そんな顔しないでくれよ。
        僕らはまだまだ、先は長いんだよ?
        僕がじじいになるまで、
        そしてキミがおばあさんになるまで一緒なんだ
        今、少し休んだって時間はまだまだ沢山ある。
        大丈夫なんだよ^^


  
 ソフィー:ありがとう、アレックス。

  
アレックス:じゃぁ薬を受け取ってくるから、ソフィーはここで待っていて

 
  ソフィー:ありがとう。

    
 ギン:ソフィー・・だと・・・。

 
 ソフィー:(後ろから声がした。
         振り向くと、見覚えの無い銀髪の青年がこちらを見ていた)


   
  ギン:お・・・おまえ。
        生きてやがったのか・・・。

  
 ソフィー:え・・・。
        どちらさまですか?


   
  ギン:どちらさまだと!?
        てめぇ・・・
        ちょっと来い!!!


 
 ソフィー:(いきなり、銀髪の青年は私の手を掴み
         病院の外へと連れ出した)

        ちょっと、痛い。
        やめてください!


    
 ギン:てめえええ!!
        よくも・・・。
        よくも平然とこんなとこまで出てこれたもんだな!!
        ベルトはな!!お前のせいで
        まだ檻ん中なんだぞ!!!


  
 ソフィー:ベルト・・・。

    
 ギン:お前!!ベルトのことまで知らないって言うんじゃないだろうな!!!!

  
ソフィー:(一瞬、ベルトと聞いて・・・
         何か、何か懐かしいようなそんな・・・なんとも言えない
         感覚が私を襲った・・・。)


        
私を知っている・・・んですか?

    
 ギン:ふざけやがっててめえええ
        お前、ホンキで殺されてぇのか!!!!


  
 ソフィー:もし!!
        本当に私を知っているなら
        お願いです!!!
        教えてください!!!!


    
 ギン:はぁ?
        頭がいかれたか?
        それともオレをおちょくってんのか!?
        

 
  ソフィー:違うんです・・・。
        私、4年くらい前までの記憶がないんです!
        もし、私を知ってるいるなら
        お願いです、教えてください!!!


    
 ギン:記憶が・・・無いだと・・・。

  
アレックス:ソフィー?どこだい〜?

 
  ソフィー:お、お名前を。
        あなたのお名前を教えてください。
  
        わ、私はソフィー。
        セラルカで服屋をしています。
        セラルカへ来てくださればすぐに分かると思います。


 
 アレックス:ソフィー?こっちか??

  
ソフィー:(アレックスがこちらへ近づくと、
         銀髪の青年は私を睨み付けた後、走り去って行った・・・。)


  
アレックス:いたいた^^ 
        ソフィーこんなところでどうしたんだぃ?

  
 ソフィー:いま、ここに青年がいて・・・。
        私を知っているって・・・。

        あなた、私を知ってる人がいたの!!


  
アレックス:・・・。
        ・・・そ、そうだったのか。
        それで、その青年は??


   
ソフィー:走って行ってしまったわ・・・。

  
アレックス:そうか・・・。
        知り合いなら、また病院で会えるかもしれないね。


  
 ソフィー:そうね・・・。

  
アレックス:今日はとりあえず、帰ろう。
        まだキミは体調がよくないだろう。


  
 ソフィー:でも!?

  
アレックス:ソフィー・・・。
        病院で調べてもらうかい?
        その青年のことを・・・。

  
 ソフィー:そ、そうね!!!

  
アレックス:じゃぁ、彼の名前は?

   
ソフィー:・・・。
        それは・・・。
        わからないわ・・・。


  
アレックス:ソフィー、おいで。

  
 ソフィー:アレックス・・・。

  
アレックス:ソフィー、焦らなくていい。
        キミの昔も大事かもしれない・・・。        
        だけど僕は、今キミといる。
        今のキミを見てる。
        そして今・・・キミが具合の悪い事を知ってる。

        大丈夫だよ。
        また、ここへは来なくちゃならない。
        その時でいいじゃないか。
        今日は帰るよ、いいね?


  
 ソフィー:えぇ、わかったわ。      
  
         (それから彼に会うことはなかった。
         今思い出してみると、あれはギンだったんだって分かる。
         ギンは、私の仲間・・・。
         大事な家族の1人だった・・・。)


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-手紙

  
ソフィー:(それから私とアレックスは
         セラルカを少し離れて旅行にでたの。
        
         私は、病院での出来事が頭から離れなかった。
         そんな私を知ってか
         アレックスは自分の幼い頃の話を聞かせてくれた。

         小さい頃の幼馴染の話。
         初恋の話。
         アレックスの小さい頃の話は初めてだった。
         私の記憶がない事を気にして話しをしなかったと言っていた。)
        

  
アレックス:キミはとてもかわいいから
        小さい頃もそうだったんだろうなぁって
        キミの小さい頃の顔を想像してみたんだ・・・。

  
 ソフィー:ぇえww

 
 アレックス:そしたらね、思いついたんだ。
        自分達の子供を見れば
        キミの小さい頃が想像つくんじゃないかって
        だからキミに似て、かわいい子が僕はほしい!!


 
  ソフィー:あははww
        アレックスww
        そんな事を考えていたの?w


  
アレックス:そんなに笑わないでくれ・・・w

  
 ソフィー:アレックス、本当にありがとう・・・・。

         (でも今、昔を取り戻したい私がいるの。
         アレックスには言えなかった。
        
         もし、私に何かあったら・・・。
         アレックスに迷惑が・・・及んだら。)


   
 ギン:(よくも平然とこんなとこまで出てこれたもんだな!!
         ベルトはな!!お前のせいで、まだ檻ん中なんだぞ!!!)

        
 
 ソフィー:(あの青年の声が、言葉が
         忘れられなかった・・・。
         檻の中に誰がいるの・・・。
         誰?誰なの?
         そして・・・私こそ何者なの・・・。


        その答えは・・・
         それから一年後、やってきた・・・。
        

         お店に1人の男がやってきたの。
         その人は私を見て驚いていたわ・・・。
        
         今はキコリをやっているらしいけれど、
         なんでも昔はベルトの盗賊団の1人だったと、
         そう言っていた男に私は話を聞いたの。

         私の過去を。
 
         私は、ベルト達と生活をしていた
         短い数ヶ月間だった。
         怪我をした私を助け、そして仲間にしてくれた。
         弟のように可愛がっていたコン。
         妹のように可愛がっていたモコ。

         大事に思ってくれていた、彼

         その彼が、国に捕まった経緯までも・・・。

         その話を聞いた夜、私は夢をみた。
         楽しく少女と唄を歌う自分を
         うれしそうに文字を教える自分を

         そしてそれを笑顔で見守る彼を・・・。

         そして、思い出した。
         ウィルノアでの夜の事を・・・。)


    
 コン:(わかった!!モコは俺が必ず守るから!!
         必ず守ってみせるから!!
         だからソフィーも戻ってきて!!)


    
ベルト:(俺なら必ずお前達の元へ戻る!!
         約束する!だからお前達は先に行け!!)


  
ソフィー:(アレックスには話せなかった。
         私の過去が、盗賊で・・・
         そして今、仲間を裏切って暮らしているのだと・・・。

         でも、あの夜からもう何年たったのだろう。
         5年はとっくに過ぎていた。
         彼らは無事なのか・・・。
         そして、彼は今も・・・・。

         ギンは、言っていた。
         私のせいで、ベルトは捕まったのだと。
         あの夜・・・彼はウィルノアで・・・。

         コン・・・
         モコを預けたまま
         彼は無事に帰り着く事ができたのだろうか・・・。

         モコ・・・
         モコ、お願い・・・生きていて。
         私が居たせいで、あの夜モコは付いてくる事になった。
         私のせい・・で・・・。


         次の日。
         私はアレックスに手紙を書いた。
         彼の寝た深夜に・・・
         彼との生活を思って。

         過去を思い出したと、帰らなくてはならない場所があると。
         そしてアレックスとの暮らしは
         夢のように幸せだったと・・・。

         私にはありえない、生活と幸福
         普通の生活が、これほど幸福に満ちていたのだと
         今、過去の記憶を取り戻した私は思う。
        
         ありがとう・・・そして、ごめんなさい

         手紙を書き終えると
         私は家を飛び出したの。

         そしてその飛び出したのが・・・今の私。)


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-伝えられた過去

  
 ソフィー:シドさん、昔話に付き合ってくれてありがとう。
        写真、こんなものがあったなんて知らなかったわ。

        
     
シド:ソフィーさん・・・。

  
 ソフィー:1人で行く勇気がなかったの・・・。
        もう少し・・・心の整理が付いたら・・・
        クマ達に会いにいってみようと思うわ。
        そして家族にも・・・。


    
 シド:そうですね・・・。

  
 ソフィー:シドさん、本当にありがとう。

     
シド:また、何か手伝えることがあったら・・・
        声をかけてください。
        マスターに言ってもらえば
        俺、いつでも来ますから。


  
 ソフィー:ありがとう。

    
シド:(そうして、彼女の昔話を俺は聞いた。
         人にはいろんな過去がある。
         彼女が特別ってこともない・・・
         俺にだって過去はある。
   
        これが、俺がソフィーさんと出会って、今まで聞いた話全部だ。

    
 モコ:・・・。
        そんな事があったなんて。
        ねぇ、でもソフィーは
        私達を捨てたわけじゃなかったんだ・・・。

        戻って来てくれたんだよね?
        探しに来てくれたんだよね?


     
シド:そうだと思う。
        記憶って怖いな・・・。

        モコに会うまで、
        ソフィーさんの物語・・・。
        小説の一部みたいに思っていたよ

        本当だったんだな。


     
モコ:ソフィーが嘘言うわけないじゃないヽ(`д´;)/

    
 シド:昨日会ったばっかの人だぞw
        そうそう何でも信じられるかよw


     
モコ:ねぇ!!
        ソフィーと会った場所まで案内してよ!

    
 シド:あぁ、かまわないが。
        仕事はいいのか?


    
 モコ:私はBarで働いてるわけじゃないの
        商品を届けにきただけなの!
        もう届け終わったから、大丈夫!
        だから早く連れてって!!


     
シド:じゃぁこっちだ、行くぞ!

     
モコ:うん!!

   
 シド:(モコと昨日の南地区まで歩いていく。
         モコは俺の後ろをゆっくり歩いて付いてきた。)

        お前、足・・・悪いのか?

     
モコ:ぁーぅん。
        さっき話してたでしょ。
        モンスターに噛まれたって。
        あれから、私走れないんだ〜

     
シド:そうだったのか・・・。

    
 モコ:でも生きてる!!
        配達もね、本当はいつもギン兄の仕事なのw
        でも今日は別の仕事で遅くなるって。
        だから、代わりに私がね、町まできたの


     
シド:(南地区までつくと、あたりは真っ暗だった。
         シーンと静まり返る町。)


     
モコ:昨日、ここにソフィーがいたんだ・・・。

     
シド:さすがに今日は居ないか・・・。

     
モコ:でも、ソフィーが生きてて・・・よかった。
        コンにも、ギン兄にも聞けなかったんだ・・・。
        ソフィーが帰ってこなくて、ベル兄や、ギン兄が捕まっちゃって
        誰にも聞けなかった、聞いちゃいけないような気がしたの。


    
 シド:そうか・・・。

     
モコ:ぅん・・・。
        でも、ギン兄、ソフィーに会ってたんだね。
        なんで言ってくれなかったんだろぉ。
        裏切り者だって、やっぱ思ってたのかな・・・。

        ソフィーが・・・。
        記憶喪失になってたなんて想像もしてなかった・・・。


     
シド:額に傷があったよ・・・彼女。
        最初さ、俯き加減にしゃべるから気づかなかったけど。
        昔の話聞いてる時、ちょろっと見えてさ

        
     
モコ:私、小さかったから、はっきり覚えてないけど
        そんな傷なかったとおもう。
    

    
 シド:その、ウィルノアの傷なんじゃないか?

     
モコ:それで記憶喪失だったのかな・・・。

     
シド:どうだろうな・・・。
        って、もう遅いからお前は帰れよ


    
 モコ:そうだね、私こんな足でしょ。
        届けにくるのにも時間がかかっちゃって・・・w


     
シド:お前、家どこだよwww
        ファンブルグじゃないのか?


     
モコ:イールの近くだよ

     
シド:げw
        そんなところから来てるのかよww
     

    
 モコ:昼過ぎに家出たんだけどね・・・w

     
シド:んじゃ、家まで送ってやるよ

     
モコ:ほ、ほんと!!

     
シド:あぁ、夜遅いのにまずいだろww

     
ギン:いや、俺が連れて帰る。
        大丈夫だ、問題ねぇ。

    
 モコ:え!? ギン兄!!!
        
     
シド:え・・・ギン・・・。

         (俺たちがいる道の奥の木の陰から
         銀髪の男が現れた。
         この人が、あのギンか・・・。

         たしかに、怖そう・・・。
         見た目もチンピラ・・・っぽい。)

    
 ギン:お前なぁ、勝手にひょこひょこ誰にでもついていくんじゃねーよ!

     
モコ:ギン兄こそ、いつからそこにいたのよ!!

    
 ギン:Barでお前達が話してるのを聞いたからな・・・

     
シド:そ・・・そんな前からw

     
モコ:なんで!!なんでなの?
        ソフィーに会ったんでしょ!?
        なんで教えてくれなかったの?
        
        なんで・・・。


     
ギン:あぁ、あいつはセラルカに住んでいた。
        結婚もしてな・・・。

        それを聞いてお前は喜べるか?
        記憶もないんだぞ?
        お前がいつも歌う唄だって
        覚えてないかもしれない・・・
        それでも、お前はそれを聞いて喜べるか?


     
モコ:ギン兄ぃ・・・。

     
ギン:それに、記憶喪失は本当だったみたいだしな。

     シド:あの、俺、気になってるんですが・・・

    
 ギン:なんだ?てめぇ

     
シド:(ほんと・・・この人なんでそんなに怖そうなの・・・w)

       
ソフィーさんのせいで
        ベルトさんは捕まったって、どうしてですか?
        ウィルノアであのまま捕まったんですか?


   
  ギン:てめぇには関係ねぇこったろ、うっせーな

     
モコ:関係なくない!!ヽ(`д´;)/
        シドが居なかったら・・・
        私はずっとソフィーの事しらないままだった
        シドが話してくれなかったら
        私・・・ずっとソフィーは逃げたんだって思ってた。
        そしてずっとこの足でいることを恨んでた・・・。
        でも、違った!!!
  
        ソフィーは私を守ろうとしてくれた!!
        コンと私を助けようとしてくれたんだよ!!!

        ギンお願い、全部教えてよ。
        ギン兄が知ってる事全部教えてよ!!
        
        あの日何があったの・・・?

    
     
シド:(ギンが近づいてくる。
         そして、近づいたかと思うと通り過ぎ
         振り返ってこっちへ来いと指を曲げてみせた。)

    
 モコ:待って!ギン兄!

     
シド:モコ、大丈夫だ。
        ほら、掴まれよ


    
 モコ:ありがと、シド

     
シド:(そうしてギンの後を着いていく。
         着いた場所は、噴水広場だった。)

     
ギン:ここなら座れるだろ・・・。
        お前、足悪いって自覚あるなら
        こんな所まで来ないで村のやつらに配達頼めよ
        いくらでも居るだろうが!暇な奴が!
        ・・・さっさと座れ!


     
モコ:ギン兄、ありがと・・・。

     
シド:(モコと俺は噴水広場の階段に腰を下ろした。
         夜の噴水広場は、人通りもなく
         とても静かだった・・・。)


     
ギン:俺は一度しか話さないからな!
        コンに聞かれたら、お前から話せ、いいな!


     
モコ:うん。
        ちゃんと全部話して。

        
    
 ギン:チッ・・・めんどくせぇな。
    
-------------------------------------------------------
-裏表の真実

   
 ギン:(ウィルノアでの仕事の日。
         俺はベルトに言わずに仕事に参加していた。
         仲間に、裏切り者が居るって分かっていたからだ・・・。

         誰とまでは、分からなかった。
         俺はソフィーを疑っていた・・・。
         あの女がやってきたタイミングといい・・・。
         疑わずにはいられなかった。

         あの女には、手配書が出回ってた。
         ベルトが連れてきてすぐに、
         あの女にそっくりの顔が写った手配書をみつけた。

         そして別の盗賊団に居た事がわかった。
         出回った経緯までは分からなかったが
         ベルトは調べると言っていた・・・。        

         俺達は、ウィルノア付近を拠点にしてる盗賊団に
         狙われていた・・・。
 
         だからウィルノアで拾ったあの女が
         怪しいと・・・思っていたんだ。

         あの女が動くなら、ウィルノアの豪邸に忍び込む日だろうと思って
         俺はベルトにも言わずに先回りすることにした。

         そして俺は数日前に、その豪邸に護衛として忍び込んだ。
         ベルト達とウィルノアに入るはずだった奴らを何人か呼んで
         護衛に化けた。
         もちろん、ベルト達を無事に逃がすために・・・。  
         仲間を守るために。     

         そして当日、ベルト達はやってきた。
         コンは予想していたが、
         モコ・・・お前までついて来ているとは思わなかった。
        
         いつソフィーが正体を現してベルトを裏切るのかと待った・・・・
         ソフィーが裏切り者なら、盗品を運ぶあたりで
         仲間を呼ぶだろうと、俺は考えていたんだ。

         でも一向に・・・ソフィーは動かなかった。

         ベルトと合流を図ろうかと思っていた時
         俺の知らないところで護衛達が動き出し
         モンスターが放たれた。
         ベルト達がいることが・・・ばれたんだ。

         本来なら、ばれるはずなんてなかった・・・。
         ベルトはそんなヘマはしねぇ・・・。
         誰かがベルトをはめたんだと気づいた。
         でも、それは俺の思っていた奴じゃなかった・・・
         ソフィー、あの女じゃなかったんだ・・・。
         俺も急いで駆けつけた。)



     
モコ:きゃぁあぁあぁぁ

     
ギン:(その時、モコの叫び声が聞こえた。
         そんなはずじゃなかった・・・
         お前を、傷つけるはずじゃなかったんだ・・・。

         モコが倒れた所へ、ソフィーが走っていった
         そして、それを庇うようにベルトはこっちへ突っ込んできた。

         俺は豪邸の護衛をある程度誘導して
         ベルトを逃がそうと考えた・・・。)

         盗賊を逃がすな!!

        (そう周りの護衛に声をかけた。)

        俺がこの盗賊を捕まえる!他に逃げた盗賊を追ってくれ!

        (するとバカな護衛達は俺とベルトを残して消えていった。)

   
 ベルト:そうはさせるか!!!

     
ギン:(他の護衛を追おうとするベルトを剣で押さえた。
         鎧をがっちり着込んでいたせいか
         まったくベルトは俺だとは気づかず本気で俺に向かってきた。
       
         でも、もうすでにベルトはボロボロだった。
         俺に会った頃には傷だらけだった・・・。

         俺はベルトを抑えるのに必死だった。
         俺も本気じゃなきゃあいつに殺されていた。

         そしてベルトの剣が弾きとんだ。
         ベルトが後方へ転がった時、声をかけた。)
      
        まだまだだなw

         (そう声をかけ、兜を取る。
         ベルトの顔は、あいつには珍しい
         驚きを隠せないといった表情だった。)
        

    
ベルト:ギ・・ギン・・・。
        お前が・・・なぜここに・・・。


    
 ギン:説明は後だ、早く掴まれ!!
        この奥の部屋から逃げられる!!
 

   
 ベルト:駄目だ!!ソフィーとモコが向こうに!!

     
ギン:大丈夫だ、あいつらは逃げられるように手を回した。
        豪邸の入り口は今、からっぽのはずだ。


   
 ベルト:すまない・・・。

     
ギン:わかったから、黙ってろ!
        
         (ベルトは黙って俺についてきた。
         この豪邸のコレクションルームには
         抜け道が作ってあった。
      
         富豪が逃げる為に作ったんだろう・・・。

         俺は、ベルトをその通路に押し込んだ。)

         こっから先はウィルノアの町の南東に続いてるらしい
        俺も護衛を撒いたらすぐ、お前のところへ向かう

        
  
  ベルト:わかった・・・。

     
ギン:この借りは大きいな!・・・ふ!

         (俺はベルトにそう言って抜け道へ続く入り口を塞いだ。
         そして、急いでソフィーとモコの後を追った。
         仲間が上手く、逃がしたか心配だったからだ。

         連れてきた仲間は、皆その屋敷にいた。
         俺が着いた頃には、ソフィーやモコの姿はなく、
         上手く逃げ出せた後だと思った。
         俺は、後を仲間にまかせベルトを探しに町を出た。

         ベルトを連れて早くアジトに戻らないと不味いと思ったからだ。
         裏切り者は、今アジトにいる・・・。

         ベルトを探しにウィルノアの南東へ走った。
         外は真っ暗だ、ベルトの姿なんてみつからなかった。

         俺は1人でアジトへと向かった・・・。
         するとファンブルグへ続く洞窟の入り口でベルトをみつけた。
         ベルトはボロボロだった、必死だったんだろう。

         俺に肩を貸して洞窟へ入った。
         あいつはこう言っていた。)


    
ベルト:ソフィーは、ウィルノアの盗賊団に囮にされたんだ。
        あいつはあの日、俺が連れて帰った日
        殺されるはずの人間だった・・・。

        俺はお前から手配書の話しを聞いて、
        ソフィーを調べたんだ
        あいつは鍵師だ。
        何か秘密を掴んだ、そんなところだろうが
        利用するだけして・・・殺すなんて
        俺は、仲間にそんな事をする奴を絶対ゆるさねぇ・・・

     
ギン:(ってな・・・。
         まったくあいつらしいと思ったよ。
         俺も、昔は別の盗賊団にいたんだ・・・。
         そして、ソフィーと同じく
         俺は殺される・・・ところだった。
         盗賊団同士の抗争のな、火種にされたんだ。

         俺も命からがら抜け出して・・・
         ベルトの盗賊団に入った。
         先代の親方に拾われたんだ。

         ベルトはさ、ソフィーの経緯を俺と重ねたんだと・・・。)

        
    
ベルト:お前とソフィーは同じだ。
        お前らを利用なんてさせない!

      
    
ギン:(俺はその洞窟を抜けるまで、
         ベルトがそんな事を考えていたなんて知らなかった。
         だから、ここを抜けてアジトを守り、仕事を終わらせたら
         そしたら・・・ソフィーの・・・あいつの作った飯も
         食ってやろうと思ったんだ。


         
でも、それは叶わなかった・・・。)

-------------------------------------------------------     
-暴かれた屋敷

     
ギン:(やっとの思いで、ベルトを連れて洞窟を抜けた。
         洞窟を抜ければすぐアジトだ。

         だが、アジトへ近づくと
         なにやら人が群がっていた。

         やられたんだ・・・と俺は思った。
         ベルトにはまだ話していなかった。
         俺らの中に裏切り者が混じっている事を・・・。

         ベルトは仲間を信じきってる。
         それがベルトのやり方だからだ。
        
         だから俺は、ベルトに話す前に形をつけようと思っていた。
         だが・・・遅かった。
         国の護衛どもが・・・屋敷へ入っていった。

         俺達のアジトがバラされた後だった。
         数名の仲間が、屋敷の前で囚われていた。
         縄で繋がれた仲間をみたベルトが走り出そうとした。)


    
ベルト:・・・コン・・モコ・・・ソフィー・・・。

     
ギン:ベルト!!今は行くな!!!

    
ベルト:うるせぇ!中に、コン達やソフィーが居るかもしれないんだぞ!!!!

     
ギン:てめぇ!!一度くらい俺の話を聞けよ!!!!

         (止める俺を、あいつは振り切って走っていった。
         人ごみを押しのけ、屋敷の入り口にいる護衛を跳ね除けて・・・)


    
ベルト:コン!! モコぉ!!

        ソフィィー!!!!!


     
ギン:(ベルトの声が響き渡った・・・。
         人ごみが一層どよめく・・・。

         止められなかった・・・。

         俺はその人ごみに紛れて屋敷をみつめた。
         終わったんだ・・・
         もうこれであの屋敷には帰れないんだと・・・。

         捕らえられた仲間が見えた
         数十メートル先にいた。
 
         仲間はみな俯き、誰も俺には気づかなかった。

         ベルトは出てこない・・・。
         そしてまた、後ろから国の護衛らがやってきて
         屋敷へ入っていった。

         俺は、ただ立ち尽くしていた。
         すると後ろから声がした。)

    
    
 コン:兄貴!!!!
        ギン兄いぃぃ!!!!


   
  ギン:(走ってコンが近づいてきた・・。
         汗だくのコンが、モコを背負ってやってきた。
         コンの表情は今にも泣き出しそうな表情だった。
         いあ、もう泣いた後だったのかもしれない。)


   
  コン:兄貴!!
        お願いだ!!!
        も・・・モコを助けてよ!!!

        モコが・・・怪我したんだ・・・・。
        このままじゃ、モコがしんじゃ・・・
        兄貴!!兄貴!!!


    
ギン:(オレはコンを見つめた。
         泥だらけだった、どこを通って来たのだろうか
         顔に、そして腕に、いたるところに擦り傷があった。
         そして必死に俺に事情を説明しようとしている。)


       
  コン・・・。
         急いでこっちへ来い!

        
(俺はコンを連れてイールへ続く橋へと向かった)

       
コン。
        今から言う事をよく聞け!

        アジトが国の奴らに見つかったんだ・・・。
        この意味は分かるな??

        アジトの中にはベルトもいる・・・。
        
        ベルトを助けに行ってくる。
        話、分かるよな?

         (コンは黙って俺をみつめた・・・。)

         この橋の先にイールという小さな村がある。
        そこの村長の家に向かうんだ。

        村長の家に着いたら
        妹が怪我をした、助けてくれ!
        そう言え!!いいな!!!

        コン!!
        お前はもう、立派な男だ!
        モコはお前にまかせる。
        大丈夫だ、お前なら絶対やれる!!!

        これが済んだら・・・
        お前らを迎えにいく!!
        どこに居ても必ず、探し出して会いに行く
        だから、戻るまで待ってろ!!!

        
    
 コン:ギ・・ギン・・・。

   
ギン:(俺を見上げるコンの頭を、一度くしゃくしゃと撫でた。
        コンは黙って頷いて、イールへ向かう橋を渡っていった。)

 
    
 コン:うわぁああぁあぁぁぁ!!!!

   
ギン:(コンの声が遠く聞こえた・・・。
       叫んでいるような泣いているような声だった・・・。
       コン・・・すまない。
       まだガキのお前に、手も貸せない兄貴で・・。

       俺は急いでアジトへ向かった。
       捕らえられた仲間の脇をすり抜けて
       国の護衛を蹴り飛ばし、アジトの中へ入っていった)

      ベルト!今行くぞ!!!!

       (屋敷の中は国の護衛だらけだった
       前から後ろからと護衛が俺に群がる。
       蹴り飛ばし、跳ね除け・・・それでも奴らは俺に向かってくる)

      邪魔すんな!どけ!!!!ベルトオオオオ!!!

       (俺は、ベルトに会うことなく、護衛どもに捕まった・・・。)

-------------------------------------------------------
-ただいま
     
    
 ギン:(捕まった後、一度だけベルトを見た。
         俺達は同じ牢には入れられなかった・・・。
     
         俺が移動する時、ベルトの牢が一瞬みえた。
         その時ベルトは、あの夜別れた時より、
         もっと酷い状態で床に転がっていた・・・。

         生きているのか、それすら謎だった。

         俺はそれから3年ぐらいで城の牢を出た。
         屋敷から、俺達が盗んだ盗品はさほど出て来なかった・・・
         裏切りものが、国の奴らが来る前に粗方盗んでいったせいだ
         まぁ、それが幸いして・・・俺は早く出れた。
         そして・・・たぶんベルトが全てを背負ったんだろうと思った。
         あいつはそういう奴だからだ。

         あいつがいつ出てくるかは分からない。
         俺は牢を出てすぐイールに向かった。

         コンとモコを探しに・・・。

         イールへ着くと村長の家へ向かった。
         コンを村長の家へやったのには理由があった。

         昔、俺はここの村の村長の家で、少しの間暮らしていたからだ。
         その頃の俺はいろんな町を点々としていた。
         俺の親も盗賊みたいなもんだった。
         点々としているうちに、置いていかれた・・・。
         子どもは邪魔だったんだろう。捨てられたわけだ。

         その町がたまたま、イールだった。
         村長は嫌がる俺を無理やり自分の家へ住まわせた。

         そして読み書きを教えてくれた、漁の仕方も。
         施設へ送れと、一部の村の住人が言うのも聞かず
         村長は、おせっかいなのか俺を
         自分の子どもと変わらず可愛がってくれた

         一時期、漁師になろうと思っていた時期もあったっけな。
        
         まぁ、それからしばらくして、
         親が俺を捜しに来た・・・。
         仕事の駒にしたかったんだろう・・・。
         俺はジジィの元を去った。

         あのジジィなら、きっとコンやモコを助けてくれると信じた。
         イールに着くと、村長の家で話を聞いた。
         
         そして村の隅の小さな小屋で2人は暮らしていた。)
        
        よ・・!


     
モコ:ん??いらっしゃ・・・

     
ギン:モコ・・・。
        だよな・・・?
        モコかわらねぇなwwwww


    
 モコ:ギ・・・ギ・・・;;
        ギンに・・・・;;


    
 ギン:遅くなったなw
        帰ったぞ


     
モコ:ギン兄いいぃいぃいぃぃ;;

   
  コン:ん〜モコうるさい・・ぞ・・・。

    
 ギン:こんな早い時間からもうお前は寝てるのか?コンw

    
 コン:嘘だろ・・・。
        兄貴・・・・。


     
ギン:嘘な事あるかwwww
        ちゃんと見ろよ、足だってあんだろ?

   
  コン:マジかよ・・・。

    
 ギン:遅くなったな、コン。
        お前ならやれるって俺は言ったろ?


    
 コン:あぁ;;そうだね;;
        兄貴、おかえりなさい;;



     ギン:(コンは、背も伸び、随分成長していた
          あのチビが今じゃ立派な男だった。
          それから・・・漁師にまでなっていた。
        
          モコは、相変わらずチビのままで
          そしてあの日の怪我が原因で足が不自由だった。
        
          俺は、その時誓った。
          もう、コンやモコにはあんな思いは絶対にさせねぇと。

          次の日、俺はコンの漁に着いていった。
          そして、あの日の出来事を船の上で聞いた。
        
          ・・・こいつらに、約束をしたのは俺だけじゃなかった。
          ソフィーも、戻ると約束したと・・・
          遠くを見つめて・・・コンはそう言った。

          あの夜、ソフィーが裏切る事はなかった。
          だが、俺は思っていたんだ。
          ベルトが屋敷へ無理やり突っ込んだのは
          あの女がいたからじゃないかと・・・。

          ソフィー・・・。

          逃げる途中で死んだのかもしれない。
          また、どこかへ逃げているのかもしれない
          でも、今でも慕っているコンやモコを見ると
          どこかへ消えたソフィーに怒りを覚えた。

          なぜ、コンやモコの元へ会いに来ないのかと・・・。)


     
モコ:これでベル兄もソフィーも戻って来てくれたら・・・最高なのに♪

     
コン:うんうん!
        
     
モコ:ねぇねぇ、ギン兄ぃ〜
        ベル兄とソフィーはいつ戻ってくるの?
        まだ、時間かかるの??


     
ギン:・・・。
        そうだな・・・
        ベルトはまだ時間がかかるだろうな。
        ソフィーは・・・わからない。


     
モコ:でも、ギン兄が戻って来てくれたもん♪
        2人も戻ってくるよね!!
       


    
 ギン:(それから1年ほどたった。
         俺もイールで漁師をしていた
         昔の仕事から足を洗って・・・。

         どこからか嗅ぎ付けて、俺に会いにくるバカもいた。
         だが、どんな話を持ちかけられても
         俺は仕事をする気はなかった。

         それから、ベルトにも会いに行った。
         あいつも変わりはないようだった。
         コンやモコの話をした・・・。

         あいつがソフィーの事を聞いて来たが・・・。
         分からないとだけ答えた。

         調べれば、分かる事かもしれない。
         でも、俺はそれをしなかった。

         ソフィーの方から、俺達の元へ戻る事を・・・
         コンやモコが望むように、俺もそう・・・願った。
         コンやモコのように信じようと・・思った。)


-------------------------------------------------------
-記憶のない女


     
ギン:(そして、モコの足を見てもらいに
         ファンブルグの病院へ行った日の事だ
         モコが診察を受けている間、俺は待合室でボケっと待っていた。
        
         すると声が聞こえてきた、どこかで聞き覚えのあるような。
         それは女の声だった・・・。)



   
ソフィー:原因ははっきり分からないみたい・・・。
        疲れから来てる場合もあるから
        ゆっくり休むように言われたわ。
     


     
ギン:(振り返ると、そこには・・・。
         ソフィーの姿があった。

         見た瞬間、俺は頭に血が上った。
         見知らぬ男と親しげに会話をしていた。

         なんだ・・・こいつ・・・。
         俺達が、どんな思いでお前を待ってたと思ってるんだ。
       
         コンやモコの顔が浮かんだ。
         俺はいてもたってもいられなくなり、声をかけた。)

          お・・・おまえ。
        生きてやがったのか・・・。


  
 ソフィー:え・・・。
        どちらさまですか?


     
ギン:(振り向いたソフィーは、俺の顔を見て・・・
         不思議そうに首をかしげた。
         あいつは、俺に気づかなかった。
         初めて見る・・・そんなまぬけな顔してこっちを見ていた。)

         どちらさまだと!?
        てめぇ・・・
        ちょっと来い!!!

         (俺は、ソフィーを連れて病院を出た。
         病院の脇には下水に続く下り階段があった。
         そこまでソフィーを連れて行くと
         話を続けた・・・。)


   
ソフィー:ちょっと、痛い。
        やめてください!


    
 ギン:てめえええ!!
        よくも・・・。
        よくも平然とこんなとこまで出てこれたもんだな!!
        ベルトはな!!お前のせいで
        まだ檻ん中なんだぞ!!!

        (ソフィーのせいだと、俺の口は言った。
        そうと決まっているわけじゃなかった・・・
         でもその時、俺の口からそう言葉が出てきた。)

  
 ソフィー:ベルト・・・。

     
ギン:(ベルトの名前を出しても
         こいつは表情を変える事はなかった。
         本当に何も知らないといった・・・
         そんな顔をしてた
         だが、俺の怒りは収まらなかった。)

        お前!!ベルトのことまで知らないって言うんじゃないだろうな!!!!  


  
 ソフィー:私を知っている・・・んですか?

    
ギン:(こいつは・・・ベルトも知らない・・・。
         俺の怒りはますます膨れ上がった。
         今すぐここで殺してやろうかと思った!!!)

         ふざけやがって
        お前、ホンキで殺されてぇのか!!!!


   
ソフィー:もし!!
        本当に私を知っているなら
        お願いです!!!
        教えてください!!!!


     
ギン:(ソフィーは俺が殺すぞと手を上げても
         逃げる素振りすらみせずに
         自分の事を教えてくれと
         俺の目を見て、そう言った。)

         はぁ?
        頭がいかれたか?
        それともオレをおちょくってんのか!?

        
   
ソフィー:違うんです・・・。
        私、4年くらい前までの記憶がないんです!
        もし、私を知ってるなら
        お願いです、教えてください!!!


     
ギン:記憶が・・・無いだと・・・。

         (こいつは真顔で記憶がないと言ってきた。
         俺が殴ろうとした事も気にせず
         俺の腕を掴んで、必死に教えろとせがんできた。)


  
アレックス:ソフィー?どこだい〜?

  
 ソフィー:お、お名前を。
        あなたのお名前を教えてください。
  
        わ、私はソフィー。
        セラルカで服屋をしています。
        セラルカへ来てくださればすぐに分かると思います。


     
ギン:(ソフィーの声を聞いてか、
         ソフィーの連れらしき男が近くへやってきた・・・。
         それでもソフィーは俺の腕を放さなかった。
        
         俺はソフィーを睨み付け、腕を払いのけてその場から走り去った。

         あいつが嘘を言っているのかもしれない。
         その場をやり過ごすためのありきたりな嘘の1つだ。
         俺はそう思った。
        
         だが・・・セラルカへ来てくださいと言ったあいつの言葉・・・。

         俺は混乱していた。
         どちらが真実なのか・・・。)


-------------------------------------------------------
-泣く男

    
ギン:(俺は、次の日セラルカへ向かった。
        
         ソフィーの言った事を信じたわけじゃなかった。
         だが、居てもたってもいられなかった。)


     
モコ:今日ね、なんか小さい頃の夢みたの!
        みんなで楽しく暮らす夢♪     

    
ギン:(モコが、今朝そう言っているのを聞いた。
         コンやモコに、ソフィーの事は話さなかった。
         話せるはずがない。
         こいつらは、ソフィーが今でも帰ってくると
         願い、信じ続けている。        

         俺はその日、久しぶりにダガーを握った。
         あいつが裏切ったと分かったら
         その場で殺してやろうと思った。

         コンにもモコにも
         そしてベルトにも・・・知られない方法で
         あいつを殺そうとおもった。

         そしたら、ソフィーは決して戻らない・・・
         だが、裏切ったのを知り、傷つくあいつらの顔の方が
         俺は見たくなかった。

         誰も、もう悲しませない。        
         会えない寂しさは知っている。

         だが、そんな寂しさは
         俺が生きてる間に消し去ってやる。
         あいつらにはもう・・・辛い思いはさせないと誓ったから。
        
         セラルカで、ソフィーを尋ねた
         町のちょっと奥に、あいつの店はあった。
         俺はなんの迷いもなく、店へ入っていった。)


  
アレックス:いらっしゃい^^

     
ギン:(店に入ると、昨日病院でみかけた男が店番をしていた。)

  
アレックス:みかけない顔だねぇ〜
        何か探しているのかい?


     
ギン:ソフィーはいるか・・・?

  
アレックス:あぁ、ソフィーなら今寝ているよ。
        ソフィーに何か用なのかい??


    
ギン:(穏やかな、口調の男だった。)
        
  
アレックス:・・・銀髪。
        も、もしかして、ソフィーが昨日言っていたのは
        キミの・・・事なのか・・・。


    
ギン:(男は俺をまじまじ見て、そういった。
         昨日俺と会った事を、ソフィーが話したのだろうか。

         なら、何かこの男は知っているのか・・・。)

         今すぐ、ソフィーに会わせてくれ!
        俺はあいつに聞きたい事があるんだ!

         
  
アレックス:今ソフィーは体調が悪い。
        話なら、僕が聞こう。
        わかる事なら僕が話そう・・・。

        僕も知りたいんだ。
        彼女の過去を・・・。

        キミは、ソフィーの事を知っているんだろう?


    
ギン:(男は、昨日のソフィーのように
         過去を知りたいといって来た。
         この男も騙された1人なのか・・・。
        
         それとも・・・。)


  
アレックス:ちょっと待っていてくれないか。
        すぐ、店を閉める。
        村の中央にBarがあるのは知ってるかい?
        そこで話をしよう・・・。


    
 ギン:俺は、お前になんて用はねぇ!!
        いいからソフィーを出せよ!


  
アレックス:頼む、話を聞かせてくれ。
        彼女は、僕の妻だ!
        僕も、知る権利くらいあるだろう・・・?


    
ギン:(男は真剣な顔をして、俺にそう言った。
        妻だと・・・。

        俺は、黙って店を出た。

        ソフィーはこの村で結婚していた。
         俺は、アレックスと名乗る男から
         ソフィーの話を聞かされた。

        あの夜・・・。

        ソフィーはファンブルグへ渡る洞窟で倒れていたらしい。
         アレックスは、仕事から帰る途中にソフィーを見つけ、
         傷だらけのソフィーを村へ連れ帰ったと・・・。)

 
 アレックス:あの夜、あそこから一番近い病院はファンブルグだった・・・。
        僕は、彼女を病院へ連れて行こうとした。
        だが、ボロボロの身体で、彼女はそれを拒んだ。

        自分の事は構うなと、彼女は言ったんだ。

        でも、傷だらけの人間をそのまま見捨てる事なんて出来なかった。
        だから僕は、自分の村まで彼女を連れ帰った。
        
        村についた頃には、彼女の意識はなかった。
        身体中に傷・・・そして額から、大量の出血をしていた。

        僕は村医者に頼んで、彼女を診て貰った。
        医者は、助からないかもしれないと言ったんだ。

        それでも僕は頼み込んで
        彼女の手当てをしてもらった。

        傷を縫い。出血を止め。
        だが、彼女は次の日も目覚めなかった。


    
ギン:(Barの隅で俺は男が語る話を黙って聞いた。)

 
 アレックス:僕は、寝ずに彼女に付き添った。
        今でも覚えてる。
        彼女には言えなかったが・・・
        何度も誰かを呼んでいた。

        魘された彼女は ベルト と必死で呼んでいたよ。

        それはキミの事なのかい?

     
ギン:ベルト・・・。
        
  
アレックス:そして、5日後、彼女は目を覚ました。
        それから、彼女は自分はソフィーだと名乗った。
        でも、それ以外は思い出せないと言った。

        彼女は目覚める前の記憶がないと・・・。

        僕は、彼女を連れて来た。
        彼女が止めるのも聞かずに。

        あの時は僕も必死だったから
        よく考えていなかったんだが・・・
        きっと彼女に惹かれていたんだ。

        その後も、傷が回復するまで一緒に生活した。

        すぐ、記憶は戻るだろうと思った。
        傷も癒えれば、記憶も戻るだろうと。
        その後、名前を呼んで居たことも話そうと思った。

        けど、話すことは出来なかった。
  
        記憶はずっと戻らなかったんだ。


     
ギン:(俺はその話を聞いて、
         アジトでの事を思い出した。
      
         あのウィルノアの豪邸近くで
         ソフィーを拾って来た日の、ベルトの話を聞いているような
         そんな錯覚さえ起こした。)


  
アレックス:怪我が治った彼女は、働きたいと言い出した。
        だから村の職人さんに話しをして
        彼女に仕事の斡旋をした。

        彼女は村の奥の小屋を借りて
        そこで生活を始めた。

        彼女は一生懸命働いていたよ。
        僕は毎日のように彼女に声をかけた。
        
        そして彼女は2年くらいして
        服職人になったんだ。
        彼女が作る服はとても評判でね
        たくさんの注文が届くようになった。

        彼女は輝いていた。
        仕事をする彼女は
        いつでも楽しそうでね。

        彼女は自分の店をいつか持ちたいと言ったんだ。
        だから僕は、告白をした。
        一緒に店を持たないかと、
        僕とキミで一生をかけて素敵な店を作ろうと。
        
        ・・・彼女は
        最初、いい返事はくれなかった。
        
        自分の事も分からない人間が、僕を幸せに出来るかとね。

        でも、僕はそれでもいいと答えた。
        記憶なんてどうでもよかったんだ。
        今、僕の目の前にいる彼女が好きだったからだ。

        彼女はとても優しい人だ。
        きっと、以前の彼女もそうだったんだろう?

        僕は、ずるい男だ。
        ・・・いつかこんな日が来ると思っていた。

        誰かが彼女を探しに来る日がね。
        
        彼女が魘される中、何度も呼んだ名前。
        その名の持ち主が
        彼女を探しに来ると・・・   
 

   
 ギン:(男は酒を注文すると、いっきに飲み干した。
         そしてまた酒を注文した。)


  
アレックス:キミも飲まないか?

    
 ギン:・・・。

  
アレックス:彼女の話を聞かせてくないか。
        彼女はどんな生活をしていたんだい?

        僕の知らない彼女・・・。


     
ギン:あいつは、盗賊だった。

        (俺は一言そういった。
        男は黙って天井をみつめた。
        そしてまた酒を飲み干すとこう言った。)


  
アレックス:そうか・・・。
        でも、それが本当だとしても
        今は僕の妻だ。
        
        一緒に過ごしてもうすぐ5年だ。
        
        ・・・お願いだ。
        僕からソフィーを奪わないでくれ。
    
        彼女が盗賊で、何か罪を償わなければならないのなら・・・
        僕も一緒に償う。
        今ある、僕と彼女の生活を奪わないでくれ・・・。


     
ギン:(男は声を震わせて。
         泣き出しそうなみっともない顔をしてそう言った。

        俺は、もうどうでもよくなった・・・

        俺が殺す相手はもう死んでいるんだと思った。
         ソフィーはもう、存在しない。
         コンやモコが待ち続けているソフィーはもう居ない

        男は罪を償うと言った。
         だから、金でもせしめてやろうかとも考えた。
         だが、止めた。
         昔のソフィーへの餞別のつもりで
         見逃す事にした。

        俺は、裏切られた気分だった。
         だが、頭にくることはなかった。
         ただ、空虚感が・・・胸に広がった。)

        俺はベルトじゃない。
        ベルトのダチだ。
        今はベルトも居ない・・・。
        お前の好きにしろよ。


  
アレックス:ありがとう・・・;

    
 ギン:だが、あいつは盗賊だった。
        それは今後もかわらねぇ。
        用心することだな。


  
アレックス:ありがとう。
        ところでキミは、なんていうんだい?
        名前を教えてくれないか・・


     ギン:(俺は男が話す途中でBarから出た。
         もう俺がセラルカへ来る事はない。
         二度と・・・。)



-------------------------------------------------------
-現実と真実


     
ギン:もう、いいだろ・・・。
        モコ、帰るぞ。

     
モコ:ううぅ;;;

    
 ギン:ったく!!
        だから俺は話したくなかったんだ。

        
    
 シド:ギン・・さん。
        まぁ、落ち着いてくださいよ。


     
ギン:てめぇがモコにあいつの話するからだろうが!!

    
 シド:そんなこと言われたって、彼女は戻って来たんだ。
        話をしたのが、たまたま俺ってだけで
        いつかはこうなったと思いますけど・・・。


     
ギン:めんどくせぇ・・・。
        なんで、今頃記憶が戻ったんだ・・・。
        ずっと戻らなければ・・・。

        おい、お前ソフィーはそれからどこ行ったんだ?

     
シド:俺が知るわけないだろう。
        さっき話した通り、落ち着いたらコンやモコを探すって。
        あ、あと屋敷を見に行くって言ってました。


   
  モコ:ギン兄、お願い。
        屋敷に連れてって。


    
 ギン:お前なぁ・・・。
        
     
モコ:お願い;;
        ソフィーに会いたいよ;
        そして、言わなきゃ・・・。


   
  ギン:何をだよ・・・。

     
モコ:家に帰って・・・って。

     
シド:モコ・・・。

     
モコ:きっと、その旦那さんが泣いてると思うから・・・。
        だから、ギン兄も言わなかったんでしょ。
        その旦那さんがかわいそうだから。


     
ギン:・・・。

    
 モコ:私はいつでもイールにいる。
        コンもギン兄も。
        だから会ったらそう伝える。
        
        ギン兄、教えてくれてありがとう・・・;


     
シド:(泣き止まないモコをギンが抱き上げた。
         そして背中をとんとん叩いた。

        
俺は階段に座ったまま、2人のやりとりを聞くだけだった。

         モコが伝えたいと言った言葉は
         どんな言葉なのだろうか。

         なんとなく、想像してみたけれど
         これを伝えられるのはきっと彼らだけだろう。

        たまたま通りかかった俺じゃない。

        そしてギンはモコを抱えたまま去っていった。)


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-少年の涙

    
モコ:(シドに会ってソフィーの話を聞いた日から、数日がたった。
         ギン兄は何もいってくれないので
         あたしからコンにソフィーの話をしたの。
         ギン兄はやっぱり何も言わずただ、あたしが話すのを聞いてた。

         コンも黙って話しを聞いてた。
         あたしが話し終わると)


     
コン:そっか・・・。

     
モコ:(そう言って終わった。
         あたしが、そっかって何!?
         それだけなの!!って言っても
         コンは何も言わなかった。

         それからちょっと寝て、ギン兄と漁にいっちゃった。

         あの夜はギン兄におんぶしてもらって家まで帰ってきた。
         屋敷に連れて行ってってお願いしたけど
         ギン兄は今日は遅いからって言って、結局いけずじまい。
         1人で行ってもいいけど、やっぱり・・・心細いから
         屋敷へは行っていない。

         今日はとっても暖かい。
         だから足の調子もいい!!
         2人が帰ってきたら、屋敷へってお願いしてみようかな・・・。)



     
コン:兄貴!網仕舞って。

     
ギン:おい・・・w
        仕舞えって、仕事になんねーだろが!


     
コン:今日はいいよ。

     
ギン:お前なぁ・・・行き成りなんだその態度!!

     
コン:モコがさ、また泣くと嫌だから・・・
        我慢してたんだけど・・・。
        ちょっと俺もう・・・、無理だ;;


     
ギン:お前・・・。

     
コン:兄貴の前で恥かしい、け・・・ど・・;;
        も、・・・;もう無理;;

        よかった;;
        ソフィー・・;;生きてたんだね;;


     ギン:あぁ、元気に暮らしてる。

     
コン:俺、ずっと・・・
        俺のせいだと・・・。

        ソフィーは死んだんだって;
        思ってた・・・;

        ソフィーを置いて・・きたから;
        俺・・・俺・・・。


     
ギン:コン・・・。
        何でお前のせいだよ!
        そんな事あるわけねぇだろうが!!


    
 コン:よかった・・・;
        ソフィーが生きてて・・・。

     
ギン:あぁ、あいつは生きてる。
        お前がそんな事、思ってたなんて知らなかった・・・。
        お前だけにでも話せばよかったな・・・。
        ごめんな、コン・・・。


     
コン:兄貴は悪くない・・・。
        誰も、悪くない・・ないよ。
        ただ、ソフィーが生きてるだけでうれしかった。
        だから、俺はそれだけでいいよ!


    
 ギン:コン。
        ソフィーに会いたいか?


     
コン:そりゃ、会いたいよ・・・。
        けど、会っていいのかな・・・。


     
ギン:ソフィーと会ったんだ・・・。
        昨日・・・。

     
コン:・・・え!?     
        
    
 ギン:偶然BARでな。ただ、一度セラルカに帰れとだけ伝えた。
        会うのは俺から連絡するって言ってな。

     
コン:・・・そうだね。

     
ギン:まぁ、あいつもお前らが心配だったんだとよ。
        あと、申し訳ないって言ってた・・・。

        記憶が戻ったソフィーを一度殴ってやろうかと思ったわw

     
コン:兄貴!!!

     
ギン:さすがに殴らねぇよ・・・

    
 コン:う・・・うん。

     
ギン:よし、じゃぁ迎えに行くか。

     
コン:え・・・。

     
ギン:お前と俺でセラルカ行くぞ。
        船もどせ!

        今から行けば、夜にはイールに戻れるはずだ。


     
コン:モコは?
    
    
 ギン:連れてくるんだ、後で会えるじゃねぇか。

    
 コン:うん!!!

       
 (俺と兄貴でセラルカへ向かった。
         まだ日が昇りきってない時間だった。
         そして、セラルカへ着いたのは昼頃。

         ソフィーはセラルカで服屋さんをやっていた。)


  
アレックス:いらっしゃい。
        ・・・あぁ、キミ達は・・・。


     
ギン:コン、お前が呼べ。

   
  コン:うん・・・。

 
 アレックス:いらっしゃい、コンくんだろう?

     
コン:え・・・。
        あ、はい・・・。


 
 アレックス:今、ソフィーを呼ぶから待っていてくれ。

    
コン:(ソフィーのお店に入ると、優しそうな男の人が
         俺の名前を呼んだ。
         ソフィーが話したのかな・・・。
         でも、なんで分かったんだろう。

         呼んでくるといって、男の人は店の奥へ消えた。)


     
ギン:ソフィー、ちゃんと戻ってたんだな。

    
 コン:え!?

     
ギン:戻れとは言ったが、素直に戻ってるかまではな・・・。

    
 コン:兄貴・・・w

        (奥からドアが開く音がした。
         そして奥から・・・。)

    
-------------------------------------------------------
-ドアを開けろ

     
ギン:帰ったぞ!!!

   
  コン:ただいまぁ〜

     
モコ:おっそーーーーい!!
        今、何時だと思ってるのヽ(`д´;)/
        2人で何してたのおぉぉ!!


     
コン:ここが僕らの家だよ。

     
ギン:いいからさっさと入れよ。

  
 ソフィー:おじゃまします・・・。

     
モコ:え・・・嘘ぉ・・・。

     
コン:ソフィー、おかえり。

     
モコ:ソ・・・ソフィ・・・ソフィーなの?

  
 ソフィー:た;ただいま^^

    
モコ:お、おかえりぃぃぃ!!

     
-------------------------------------------------------
-ドアの向こう側


    
モコ:(ソフィーが帰ってきた
         ギン兄とコンがソフィーを連れて来てくれた。
         久しぶりに会ったソフィーはとっても、キレイだった。)

        
    
コン:(セラルカで久しぶりにソフィーに会った。
         ソフィーは俺をみると飛んできて、俺を抱きしめた。
         ごめんなさいと言いながら泣いていた。
         俺も一緒になって泣いた。
         生きててくれて、ありがとうソフィー)



    
ギン:(コンもモコも
         ここ数日でどんだけ泣いたか。
         それは、まぁ・・・
         いーっちゃいーんだが・・・。
         ただ、うるせぇ。

         ソフィーを偶然Barでみつけたあの日。
         俺は、ただあいつを見つめるだけだった。
         声なんてかけられるかよ・・・。
         俺はあいつにイヤミな事しか言ってこなかった。

         だが、あいつは俺をみつけると
         ごめんなさいと言って泣き出した。

         俺はコンでもモコでもない
         ましてやベルトでもない・・・。

         でもソフィーは俺の名を呼んで、泣いた。

         話を一通り聞いて、俺はセラルカへ一度帰れといった。
         あの男の泣き顔が目に浮かぶようだった。

         ソフィーは無理だと言ったが
         帰らなければ、コンやモコには会わせないと言うと
         ソフィーは泣きながら首を立てにふった。
 
         どいつも、こいつも世話がやける)



 
 アレックス:(彼女が出て行ったのは、僕のせいだ。
        
         僕は、彼女に黙っていた。
         意識のない彼女が呼び続けた相手が居たことを・・・
         それはきっと彼女の大事な人だとわかっていながら。

         こうなるとわかっていたのに・・・。
         彼女がいなくなった家で僕は、自分に腹を立て、泣いた。

         数日後・・・。
         彼女は帰ってきた。
         僕をみると彼女は泣いた。

         そして僕と生活する前の本当の自分を語ってくれた。

         謝る彼女に僕は言った。
         悪いのはキミだけじゃないと。

         僕もそうだ、彼からキミを奪ったも同じなのだから。
         
         だからキミは泣かなくていいんだ。

         そして今、僕はキミを居るべき場所へ送り出す。)



   
ソフィー:(涙が止まらない。
         どこから溢れてくるのかもわからない。

         みんなに会った安心感からか、
         それともみんなから離れて居なくなってしまった罪悪感からなのか・・・。

         それでも、私の気持ちは決まっていた。

         いってらっしゃいと言ってくれた家族がいる。
         おかえりなさいと言ってくれた家族がいる。
    
         私は、彼らに全てを捧げたいと思う。
         返せるもの全て返したいと思う。

         いつまでも帰りを待っていてくれた家族に・・・
         そして・・・私を待ってくれていた彼にも・・・。)


-------------------------------------------------------
-微笑み

    
ベルト:そうか・・・帰ってきたのか。

    
 ギン:あぁ、元気だよあいつは・・・。
        それから毎日ぎゃーぎゃーうるさくてしかたねぇ・・・。


    
ベルト:はは、そうか。

    
 ギン:それから、言伝だ。

 
  ソフィー:(帰りをずっと待っています。)


●脚本家コメント●

ドアを開けろ 全編  〜記憶の鍵〜
この物語を作るきっかけとなったのが
劇団あんだんてのボイスドラマ第3弾
ドアクエ〜さぁ扉を開けて〜の台本つくりから始まります。

このお話はコンチェルトゲートの中のクエストを題材としたパロディーです。
そしてドラマの台本を書くにあたって設定資料なるものを作りました。
キャラをつくって話を広げて
作るうちにどんどん話が広がって広がって
当初予定されていたドラマ30分では収まらない量の
設定資料が出来ちゃいました。

そこで設定資料から
30分に収まる内容で作られたドラマが
第3弾のドアクエです。
30分で収まる内容、そしてクエストを重視してで作ったので
設定資料の中に出てくる何人かのキャラは
省く形となりました。

が・・・
今回はその設定資料をもとに
キャラクターも全てだし、タイトル通り
全編を書き上げたのが
このドアを開けろ全編のドラマです。
今回はストーリーを重視してつくりました
なのでコンチェの世界感はあまりなぃかもですw
ですが前回のドアクエの裏舞台といった場面もいくつかあります。

長いお話なので
ボイスドラマに出来るかなという不安もありましたが
団長様の大丈夫だよ!の一声に勇気をもらい
作り上げることが出来ました。


劇団あんだんてに参加させていただきありがとうございます。

団長をはじめ、参加してくださったキャストさま
そして聞いてくださったリスナーさまありがとうございます☆

また作品を通してお会いできるのを楽しみにしております

ぱふぇこ☆


〜編集後記〜

このドラマは一年前に放送したボイスドラマのリメイク?です。
1年経って、色んな経験を積んだ成果が少しでも出ているといいなぁと思っています。

前回の時に、仕方なく削った部分を全部出し切って欲しいと
お願いして出来上がったドラマは、映画並みの長さの超大作となりましたw

後悔はしていません!
むしろやり切った感で胸がいっぱいです♪
リスナーの方は、長くて聞くのが大変かもしれませんが
きっと最後まで終わると、いつものように
「あれ?もう終わっちゃった!」と言ってくださると信じていますw

今回、編集をする時に特に楽しかったのはBGM選びでした。
ストーリーテラーが次々と変わっていくので、同じシーンでもその人物や感情に合った物を選んでみました。
同じシーンでも雰囲気が全然違う感じに出来ていれば幸いです。

                               そんちゃん